春のポカポカ陽気に誘われて、従姉妹の由美ちゃんと洋子ちゃんがやって来ました。2人はトシ子おばさんの娘です。トシ子おばさんは同じのすぐ近所に嫁いでいたのです。由美ちゃんはチエちゃんと同い年、洋子ちゃんはたかひろ君と同い年です。ですから、学校では同級生だし、何かというと、いとこ同士顔を合わせ、一緒に遊んだものでした。
何して遊ぶ?
かくれんぼ!
うん、やっぺ。 かくれんぼ、やっぺ。
じゃんけんぽん!あいこでしょ!
チエちゃんが負けて、最初の鬼になりました。
チエちゃんは腕で目を覆って、庭の中央にあるビャクダンの木に寄りかかると、大きな声で10数え始めました。他の子たちがササッと動く気配がします。
・・・8、9、10。 もう、いいか~い?
まあ~だ~だよ
もう、いいかい? もう、いいよ~!
あとは、シーンとなりました。
チエちゃん鬼がみんなを探し始めました。「たかひろ、みぃ~っけ!」たかひろ君は、カラヤ(納屋)の筵の下に隠れていました。筵が動いていたのですぐに分かりました。続いて、「由美ちゃん、みぃ~っけ!」カラヤの隣の薪小屋の後ろに隠れていました。あとは洋子ちゃんだけです。何処にもいません。そう思ったとき、上の畑で、何かが動きました。「洋子ちゃん、みぃ~っけ!」
今度は一番初めに見つかった、たかひろ君が鬼です。目をつぶって10数え始めました。さあ、何処に隠れよう!
チエちゃん家は高台にありました。庭の先の土手に降りて、見えないように腰を下ろしました。
「もう、いい~かい!」「もう、いい~よ~」
しばらくして、洋子ちゃん、由美ちゃんが見つかったようです。
チエちゃんはじっとしていましたが、その時です。チエちゃんの足元で、何かがごにょごにょと動きました。
きゃあ~!
それは、それは、赤ちゃんの
ヤマカガシでした。
ポカポカ陽気に日向ぼっこをしていた所をチエちゃんに踏ん付けられていたのです。
お陰で、チエちゃんは見つかってしまったのでした。