干し芋がムシロに並べられている。
干し柿の粉が陽光に輝いている。
生垣の影の用土の上の満ち足りた膨らみに光が筋をつける。
かまどで燃えるパチパチの木が、くゆらせたなびかせる層雲。
まるまった暖かい相貌を崩して、ばっさまが静かに笑っている。
木綿の縞が幾重にも重なって深い情愛の風景を纏っている。
そんな日和が確かにあった。
お袋にも、親父にも、じいさんにもない。
ばあさんの日和が。
近づくと、手に取ると、するりと零れるような日和。
なんでだろうか。
ばっさまが笑う。
どうやら心が弱っているらしい。
こんな日和に。
浮きことも。浮かざることも。過ぎざれば。ただ夢の如くある。
佳き哉。善き哉。