南無煩悩大菩薩

今日是好日也

さけのみの太平楽

2018-03-31 | 酔唄抄。
(gif/source)

‘酒なくして、なにがこの世のさくらかな’とは昔から"さけのみ"の常套句のひとつ。

大先輩のさけのみの先生はトイレに立つたびに、‘税務署に行ってくる’が口癖であったが、あの世には何も言わず旅立ってしまった。

私も便乗し‘確定申告に行ってくる’と言うようになってきた。ビールが一番税率が高いようだが、やはり、払う量も頻繁である。

また、‘酒が肉体(からだ)によくないのは判っている。だが、素敵に精神の助けになるのは争えない。自分は肉体と精神とどちらを愛するかといえば、言うまでもなく精神を愛するから酒は止められない’というような先生がいたり、

また別の先生は‘初鰹は女房を質に入れてでも食う’などという向こうを張って、

‘酒さえあれば、天国などは質に入れてもいい’と毎日酒を飲んでは太平楽を言っていたそうな。

さけのみのグラスの中にはそれぞれの‘シュール’なるものが存在する。
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ジャーナリズムとリテラシー

2018-03-27 | 古今北東西南の切抜
(photo/source)

ジャーナリズムとはその語の示す通り、その日その日のために原稿を書いて、その時々の新聞雑誌の記事を作ることである。

それ自身に別段悪い意味はないはずであるが、この定義の中にはすでにいろいろな危険を包んでいる。

浅薄、軽率、不正確、無責任というようなものが付きまといやすい。

それからまた読者の一時的興味のために、すべての永久的なものが犠牲にされやすい。

それからまた題材が時の流行に支配されるために、取材の範囲が狭められ、同時にその題材と他の全体との関係が見失われやすい。

・・ただ、そういう幣に陥ることなくして永久的な読み物としての価値を有するものもまた決して不可能ではない。

そういう永久的なものと、悪い意味でのジャーナリスチックなものとの区別は決して難しくはない。

要するに読んだ後に、読まない前よりいくらか利口になるかならないかというだけのことである。

そうして二度三度とちがった時に読み返してみるごとに新しき何物かを発見するかしないかである。

-切抜/寺田寅彦「世界文学講座」昭和八年九月より

*Journalism is the production and the distribution of reports on recent events.
*Literacy is traditionally meant as the ability to read and write.
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"Культура"

2018-03-25 | 意匠芸術美術音楽
(art/source)

Музыка - Эдуард Штраус. Художник - Альфонс Муха Оформление телеканала "Культура"
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汝、触れることなかれ。

2018-03-25 | 世界の写窓から
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鳳仙花のように子房がはじけて種子を弾き飛ばす植物の仲間に、きつりふね(黄釣船)草と呼ばれるものがあります。

本を読むと学名に‘Impatiens noli-tangere’とあり、ちょっと面白いなと思いました。

インパチェンスはともかくも「かんしゃく」であり、ノリ・タンゲレは「さわられるのがいや」ということのようです。

すなわち「かんしゃく持ちのさわるな草」という見立てにひかれたのだとおもいます。

それからなぜかふと、清潔志向の過剰についての話におもいは弾き飛びました。

みんなで鍋をつついたり、お猪口での返盃を不潔と感じる人や、握手でさえ毛嫌いする人がいるというような話です。

また、爺が孫にチュウしようとしたら、嫁があわてて子を抱いて逃げたなどという悲話もありました。

これなども、述語的見立てで行くと、インパチェンスはともかくも、ノリ・タンゲレといっても差し支えないように思えたのです。
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認識のない影響力

2018-03-24 | 古今北東西南の切抜
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宇宙のどこの果てからとも知れず、肉眼はおろか顕微鏡にも見えない素粒子のようなものが飛んできて、それが地球上のあらゆるものを射撃し貫通しているのに、我々愚かなる人間はその存在を知らないでいる。

ビルディングの中の金庫の中に大事にしまっている品物でもこの天外から飛来する弾丸の射撃を免れない。

我々の大事なこの五体も不断にこの弾丸のために縦横無尽に射通されつつあるのは事実で、しかも一平方センチメートルごとに大約毎分一個ぐらいの割合であるから、例えば頭蓋骨だけでも毎分二三百発、一昼夜にすれば数十万発の微小な弾丸で射通されている。

なのにおかしいことには、我々はそんなこと全く夢にも知らずに平気で済ましていられる。

針一本でも突き刺されば助からぬ脳髄を、これだけの弾丸が貫通して平気でいられるのは、その弾丸が微小であるためというよりもむしろあまりに貫通力が絶大であるためであるとも考えられる。

しかし、ともかく我々が頼みにしている頭蓋骨を日常不断に貫通している弾丸があって、しかも誰一人夢にもそれを知らずにいるというだけは確かな事実なのである。

しかもその本性はまだ誰にもわからないのである。

-切抜/寺田寅彦「中央公論 昭和八年六月」より

Abel Korzeniowski - Tango
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Teen Power

2018-03-23 | 意匠芸術美術音楽
(photo/Sneaking a kiss through the Berlin Wall…)

Кирило Костюковський – Teen Power
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ああ、海鼠かな。

2018-03-23 | 壹弍の賛詩悟録句樂帳。
(photo/source)

日本近海の海底に生息するナマコ(海鼠・海参・生海鼠)の文献初出は「古事記」だという。

‘思うこと言わぬさまなる生海鼠かな’ -与謝蕪村

天宇受売命(あまのうずめのみこと)が海の生物たちを集めて「天つ神の御子にお仕えするか」と問うたとき、ナマコだけが答えなかったので「返事をしない口だ」といって小刀で口を裂かれたという。

‘古往今来切って血の出ぬ海鼠かな’ -夏目漱石

ナマコは危険を感じると、内臓を肛門から総排出して逃げる習性があり、内臓は二カ月で再生するともいわれる。

‘尾頭の心もとなき海鼠かな’ -向井去来

滋養強壮に富み、漢方薬としても古来より貴重なナマコであるが、それだけの資質を持ちながら、攻撃手段を持たず、動きも遅いため捕獲は容易である。

‘憂きことを海月に語る海鼠かな’ -黒柳召波

ナマコを最初に食した人も偉いが、ナマコも偉い。
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花は桜木、男は老鉄。

2018-03-21 | 古今北東西南の切抜
(photo/source)

桜こそは、春の花のうちで表現の最もすぐれたものの一つであります。
しとしとと降り暮らす春の雨の冷たさに、やや紅みを帯びて悲しそうにうなだれたつぼみというつぼみが、一夜のうちに咲きそろって、雨あがりの金粉をふりまいたような朝の日光のなかで、明るくほがらかに笑っている花の姿は、多くの植物に見るような、蕾から花への発展というよりも、むしろすばらしい跳躍であります。

感激というよりも、驚異であります。第二楽章なしにすぐに第三楽章への躍進であり、表現と高興との中心への侵入であります。こと生命の歓びに、やっと新芽を吹いたばかりの草も、木も、饒舌家の小鳥も、むっつりやの獣も、さすらい人の蝸牛も、地下労働者のもぐらも、みんな魔術にでもかかったように、いい気持になって夢を見ているなかに、この桜の花のみは、ながい三春の歓楽をわずか二日三日の盃に盛って、そこに白熱した生命の燃焼と豪奢の高興とを味いつくそうとするのであります。恋をするものは、道を歩くにも決して後をふり向かないと云います。むかしの詩人は、

さまざまの事思ひ出す桜かな

と謂いましたが、それはその詩人自らの追想であって、桜には何の追想もありません。追想するほど自分とかけ離れた自分を持たないからであります。張りきった恋愛の激情には、子女の繁殖など思う余裕はありません。それ故に桜の花は、梅や杏のように実らしい実を結ぼうとはしません。花自らが生命の昂揚であり、燃焼でありますから、それが他の花から見て、若き日の徒費であろうと、少しもかまわないのであります。

むかし徳川の末、たしか弘化の頃であったと思います。名古屋に山本梅逸の弟子で、小島老鉄といった画家がありました。古寺の閻魔堂のかたわらに、掘立小屋のようなちいさな庵を結んで、乞食にも劣った貧しい生活のなかにも、蘭の花のような清く高い心持を楽んでいました。ある冬の事、あまりの寒さつづきに、小屋掛の身はどんなに凌ぎ難かろうと、親切にもわざわざ炭三俵を送ってよこした友達がありました。老鉄はそれを見ると大層喜びました。

「折角の志じゃ。火をおこしてすぐに暖まるとしょう」
といって、いきなりそれに火をつけて、三俵とも一度に火にしてしまいました。そして尻を暖めながら、
「ああ暖かい、いい気持じゃ。久し振で今日は大尽になったような気がするて」
といつて、いい気になっていたという事であります。

炭を送ってよこした友達の心では、冬中の寒さはこれだけあったら凌ぎおおせるだろうというくらいに考えていたらしいのです。また普通の人ならばきっとそうしただろうと思われます。だが、老鉄はそんな真似をしないで、三俵一度に火にしてしまいました。つまりこれまでの貧乏暮しのように、ちびりちびり火をおこしたところで、三俵の炭はやっと六十日を持ちこたえるに過ぎますまい。それでは唯平凡な日の連続に過ぎません。それよりかも、折角到来の炭です。残りの五十九日はよし寒さに凍えていようとも、その五十九日にも替え難い程の一日を味ってみたいというのが、画家老鉄のその日の思い立ちではありますまいか。彼が尻を暖めながら、いい気持になつて、

「まるで大尽になったような気がする。」

といったのは、実際言葉どおりに生活の跳飛であり、経験の躍進であり、更にまた新しい心持の世界の新発見でありました。

桜の花の気持は、画家老鉄のような態度を持った人で、初めてよく味わい深くなりますし、老鉄の抱いていたような心持は、この花の姿でおもしろく表現出来ていると思います。

-切抜/薄田泣菫「桜の花」より 
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Beethoven's Silence

2018-03-21 | 意匠芸術美術音楽
Rastalex - Reggaethoven - 03 - Beethoven's Silence
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はるのうた

2018-03-18 | 酔唄抄。
(photo/source)

酒をのんでいるのはたのしいことだ

すべての善良な心をもつひとびとのために

酒場の卓はみがかれている

酒場の女たちの愛らしく見えることは

どんなに君たちの心を正直にし

君たちの良心をはっきりさせるか

すでにさくらの咲くころとなり

わがよき心の友等は

多く街頭の酒場にあつまる

-萩原朔太郎 「酒場にあつまる―春のうた―」より
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Amazing Thinker

2018-03-17 | 古今北東西南の切抜
(photo/Stephen William Hawking)

スティーヴン・ホーキング博士が、3月14日に76歳で亡くなった。

博士は1963年に21歳で難病のALSであると診断され、あと2年しか生きられないと考えた。

そのとき、博士は次のように述べたという。

「驚くことに、わたしはこれまで以上に現在の生活を楽しんでいることに気づきました。わたしは自分の研究を進め始めたのです」

寺田寅彦博士はこんなことを述べている。

「健康な人には病気になる心配があるが、病人には回復するという楽しみがある。瀕死を自覚した病人が万一なおったらという楽しみほど深刻な強烈な楽しみがこの世にまたとあろうとは思われない」

たとえ深刻であったにしても、その状況を受容し、それを反転すれば違った側面としての楽しみが必ず存在している。

そう追求した人々の考えに触れることは、大いなる救いである。
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超ウケる言い方

2018-03-14 | 古今北東西南の切抜
(picture/source)

その言い方は、どのように「超ウケる」のでしょうか。

「実に(超)興味深かった(ウケる)」のでしょうか。

「並外れて(超)笑いを誘った(ウケる)」のでしょうか。

「はなはだ(超)反響があった(ウケる)」のでしょうか。

-切抜/「大人の言葉選びが身につく本」より

「我々の言語がいい加減であるがゆえに、愚かな思想を持ちやすくなる」  -ジョージ・オーウェル
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ハエ取り草はハエの希望に応える

2018-03-12 | 世界の写窓から
(gif/source)

英語では“Venus Flytrap”(女神のハエ取り罠)と呼ばれるそうだ。

“我々は我々が欲するものに用心しなければならない。すなわち、悲劇は希望が聞き入れられると起こる。”-オスカー・ワイルド-
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"Elegy for the Victims of the Tsunami of March 11, 2011 in Japan".

2018-03-11 | 意匠芸術美術音楽
Pianist Nobuyuki Tsujii
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将来の私が、今の私に伝えたいこと。

2018-03-10 | 世界の写窓から
(illustration/source)

将来のあなたにとっては、今のあなただけが頼りなんです。
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