あのおっさん。狸やなー。
え。どないしました?そのおっさん。たぬきでっか。
ほんなら 狸汁にして食えまんなぁ。
あほやなぁ。食えんから 狸おやじ いいまんねや!
え!食えんのですか? ああそうか ぶんぷく茶釜持ってきてくれたんは狸坊主やさかいに 食うたら 福分けてもらえしまへんもんなぁ。
ちゃう!言うてますやろ!
たぬきおやじ。言うんは 人間ですわ。煮ても焼いても食えん奴を 狸親父言うんです!
へぇ?・・!
なるほど!たぬきのおやじ じゃなく おやじがたぬき なんですな。
じゃ あんさんは 狸息子でっか?・・はは。すんまへん。
・・・せやかておかしいでんなぁ。煮ても焼いても食えんもんに なんで付き合いますの?
ほんまはあんさん。もしかしたら茶釜持ってるかもしれん と密かに思うてるんちゃいまっか?
・・そうなんやろうか・・・わし 分からんなってきたわ。
それそれ!分からんじゃなくて 分けてもらわなあきまへんで。福。
・・・・・。
暗黙知。
というものがある。
仕事にも生活にも人生にも。
あるレベルを超える事によって了解されていく情報の事。
手取り足取りでは教えられない 学べない もの。
自らのオツムが反応してこそ はじめてオムツが取れる。
・・もとい。
・・・・。
信楽焼きの狸を店先に置いてまっしゃろ。あの福福しゅうて 大きな金玉袋ど~んと出して 大福帳もってる 商売人狸。京都の一見さんお断りの店に多いですわな。あれ。何で置いてあるか知ってまっか?
・・・・。
京都の一見さんお断りっちゅうんはな 昔はつけで飲ましましたやろ。ちゅうことは誰かの紹介でないと 取りっぱぐれがおきますんや。でもな現金で払ってくれるなら問題ないでっしゃろ。
それとなく それをはんなりとお客はんに伝える看板が あの信楽焼きの狸ですわ。
・・・・。
つまりや。あの大きな金玉袋をど~んと見せてるんはな。
先に金さえ見せてくれたら 一見さんでも ようおこしやす! ちゅうことですわな。
現金なもんです。
・・ほ~。せやけど兄さん。その話と今日のお題の 分福とどういう繋がりがあるんでっか?
え?なんやて。そんなもんありまっかいな!
思いついただけでんがな。
・・・あかん。たぬきおやじ や。・・・。