南無煩悩大菩薩

今日是好日也

大肯定

2022-06-19 | 古今北東西南の切抜

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剣術の奥義にしても、政治をやる上においても、戦をやる上においても、何人も最も大切に心得ておくべきは、自我、個我などと言われているところのものを捨ててかからねばならぬことである。

自我というものがあると、生死ということから離れられない。自我観念のいけないのは、自分の心が二つになるからである。この「我」を超越した何物かを捉えなければならぬ。

ただ「我」を捨てよとか、無くせよなどと言っただけでは何もならぬ。自我を無くするには、自我よりももう一つ大きいものを見つけなければならぬ。

人間は元来消極的には何もできないもので、積極的に何か肯定したものを持っていなくては、働きが出てこないのである。

人間は元来、否定に死んで肯定に生きるのである。

生死を捨てるということだけではいけないので、生死より大きなものの上に生きることを体認しなければならぬ。自分らは何れも大肯定に生きるということでなくてはならぬ。

否定は促進性を持たぬ。どうしても肯定的でなくてはならぬ。絶大なる肯定、この大肯定というものにぶつからねばならぬ。

この大肯定は人によって、いろいろな形をとることでもあろう。また一つの集団内でも、階級によっても相違をみることであろうと思う。しかしながら、本当の大肯定ということになると、これは各自の心を掘り下げ、掘り下げて、もうこれ以上掘り下げることのできないところを、今一つ掘り下げることによって初めて得られるところのものである。

この如き大肯定は、その原理においてどこまでも同じものでなくてはならぬ。

ー切抜/鈴木大拙「一真実の世界」より

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いろいろの世界

2022-06-08 | 壹弍の賛詩悟録句樂帳。

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相対性理論を簡単にわかりやすく教えてほしいと乞うマダムに、アインシュタイン博士はこんな例え話をしたそうです。

『私がある暑い日に盲目の友達と一緒に歩いていて、「のどが渇いたので冷たい牛乳を一杯飲みたいな」と言いました。

ところがその友達が言うのには、「冷たいということも、一杯飲むということも解るが、牛乳とは何だ」

彼がこう尋ねたので私は、「牛乳というのは白い液体である」と答えました。

そうするとその盲目の友達は、「液体は解るが、その白いというのは何だ」と言います。

そこで「白とは白鳥の色だ」というと、「白鳥とは何だ」という。「白鳥とは長い曲がった首の鳥だ」というと、「首は解るが、曲がった首ということがわからん」というのです。

いくら説明しても解らないので、私はその盲目の友人の手を取って、それを伸ばしてみせて「これがまっすぐだ」と云って聞かせ、今度はその腕を曲げて「これが曲がったんだ」と言ったら、その友達は手を打って喜んでいう「あーわかった、わかった」と。

何がわかったかといえば、先に問題になった白い牛乳の「白い」とは何だということが、「曲がった腕」だというふうにわかったのです。』

金持ちとはなんだ、幸せとはなんだなども、これと似たようなものである。

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ジョウトウの心がけ

2022-06-05 | つれづれの風景。

必ズシモ福ヲ求メズ 禍無キヲ以テ福ト為ス

必ズシモ栄ヲ希ハズ 辱無キヲ以テ栄ト為ス 

必ズシモ寿ヲ祈ラズ 夭セザルヲ以テ寿ト為ス

必ズシモ富ヲ求メズ 飢エザルヲ以テ富メリト為ス

ー言志四禄より

幸せかどうかはわからんが、不幸ではないことを喜んでいる。

名誉とは無縁だが、恥ずかしくはないとおもっている。

いつまで生きるかわからんが、若死にはしていない今がオメデタイ。

富は羨むけれど、今も呑めているだけで私はジョウトウ。

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