土木技術者が撮った中南米の「光りと影」の写真 及び 他国風情

 約22年間の中南米赴任中に土木技術者の視点から撮った写真。開通前のパナマ運河に架かる第二アメリカ橋は圧巻 & 他国事情

天の水は命の水にて万民に平等であれと祈る

2008-12-30 00:06:36 | ペルー
 6,000m超級山々が連座するアンデス山脈。中南米の人々にとっても飲料水や灌漑用水等に使う貴重な天水の源です。


 人を寄せ付けない険しい切立った万年雪を冠した山脈の雪解け水は天=神が人類に与えた平等な恵みです。筆者(私)は標高約4,500m地点に立っています。通常、高山病に罹る標高境界は健康な成人で約3,000m(富士山の約8合目)と言われております。その日の健康が優れない状態や高齢者の方々は約2,500mだそうです。


 雪解け水は至る所から互いに合流し沢から小川になって行きます。


 気の遠くなるような等高線に沿って数10km先の最寄の都市まで導水されます。ここは某国の国際協力資金で素掘り(土のまま)の導水路が練石積みのコンクリートに改修されてきれいな雪解け水が絶え間なく流れていました。導水路の途中で一部灌漑用水としてゲート(水門)で堰られ利用されていました。

 
 同上。 何処までも何処までも延々と延々と延々と・・・・・・・・・続きます。

 
 中南米では導水路は浄水場に入る方式と貯水池に入る方式があります。ここで飲料水用と灌漑用水に仕分けされます。

 
 浄水場です。貯水池からの水は通常はばっき(空気にさらし酸素を取り入れ好気性細菌を繁殖させそれが汚水を食べきれいな水にします)され沈殿池で大きな破片はフルワレます=沈殿されます。それからろ過され塩素で殺菌し浄水池に貯水されます。浄水場に併設したものや下記のようにタンクに貯水する方式があります。


 これは浄水タンクです。殺菌された浄水を貯め送水します。通常重力を利用する為高い所に設置します。送水距離が長いと送水ポンプで強制(圧力)送水します。


 送水された浄水は一旦高架槽(タンク)に貯められ各家庭へ配水されます。ここでも塩素殺菌され配水する場合も有ります。

 
 高架タンクの下はキオスクになっていました。所謂これが憩いのオアシスでしょうか?

 
 色んなタイプのタンクがあり企業名を入れさせスポンサー料をメンテの一部に使うそうです。

 
 上のタンクと企業ロゴ等は一緒ですが構造形式が違います。中央の柱が上の写真は円筒ですがこちらは角柱で、外の柱は末広がりになっております。我々土木技術者はこれらの構造形式の違った同目的の建造物を見るたびに設計者の意図とするものを考えるのが楽しみの一つでもあります。


同上。設計者のサービス精神や思考の豊かさ感じます。極端な言い方ですが人間性の豊かさを感じます。

 
 同上。ここは街外れにあり、個人的には構造物の温もりがさほど感じ取れ無いような感じです。柱の構造は手間のかかる円筒形でスライドフォーム(自動的に下部よりコンクリート打設を休まず立ち上げて行く方法)で造ったようなタイプをしています。機能性を重視したのでしょう。人通りが少なくスポンサーもついていません。


 雪解け水は飲料水のみならず砂漠の中の灌漑用水にも併用されます。

 
 でも大半の砂漠や貧困地帯は水の恩恵を与かっていません。水さえあれば砂漠も貧困地帯も農業等の植栽が可能になり地球温暖化対策にもつながります。また何よりも周辺に暮らす人々の天から授かった命の水として貧困層の自給自足も可能になります。大国のエゴでの侵略合戦(戦争)を無くし早くこういう国際協力合戦に変えて行ってもらいたい思いです。


本年は今回で終了いたします。来年は赤道の国エクアドルから中米にいきます。
良いお年をお迎えください。

この記事についてブログを書く
« Merry Christmas 今までに掲... | トップ | 謹賀新年 新春は赤道の国エ... »
最新の画像もっと見る

ペルー」カテゴリの最新記事