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アジアと小松

アジアの人々との友好関係を築くために、日本の戦争責任と小松基地の問題について発信します。
小松基地問題研究会

20200807肝の据わらない図書館

2020年08月07日 | 読書
20200807腹の据わらない図書館(9月14日追伸)

 石川県立図書館と金沢市立玉川図書館に『石川県ゆかりの表現者と戦争』を寄贈して、1ヶ月以上たつが、未だに蔵書検索ではヒットしない(8月7日)。まあ、石川県の名高い「偉人」を批判する小冊子なので、公開するのを躊躇しているのかも知れない?。
 これまでに私が寄贈した小冊子には、『内灘から三里塚へ』(1989年)、『1932年上海爆弾事件後の尹奉吉』(2012年)、『島田清次郎の実像』(2019年)、『1932年上海爆弾事件後の尹奉吉(改訂版)』(2020年)があるが、それらはしっかり蔵書されている。
 9月14日に確認したところ、『石川県ゆかりの表現者と戦争』が石川県立図書館と金沢市立図書館の蔵書検索で見つけることができた。

李登輝の訃報と八田與一
 また、同書には八田與一の実像を事細かにレポートしていることもあり、金沢偉人館に寄贈した。その後の李登輝の訃報(7月30日)に際して、学芸員の増山仁さんは、私の八田與一論を読む時間は十分にありながら、八田與一が台湾農民のために尽くしたかのように、コメントしているが(テレビ報道)、とんでもないフェイク発言である。

 また、7月31日の「北國新聞」では、編集委員の宮本南吉さんは「李登輝氏は身を粉にして台湾の水利事業に尽くした八田與一技師の思いを語り、八田技師のような『日本精神』を発揮すること…」と書いているが、李登輝の八田與一評が台湾ではどのように受け止められているのかについて、一顧だにされていない。

 たとえば、台湾大学教授の許介麟は「李登輝はストックホルム症候群だ。八田與一を顕彰するなんて奴隷根性だ」(『日本植民地統治的後遺症』2011年)とこっぴどく批判している。宮本さんは李登輝の言葉を利用して八田與一=日本精神を称揚しているが、その八田の思想を検証したことがあるのだろうか。

 1943年に発行された『水明かり 故八田與一追偲録』を見れば、
(1)「我等の希望せる戦(注:大東亜戦争)が来ました。…日本は朝鮮、シベリアを領土とし、満州国、蒙古国、北支那に根を張らねばなりません。…豪州ニューギニアを第二日本国とし、スマドラ、マレー、北ボルネオを第三日本国とします。第二日本国に千五百万人、第三日本国に五百万人、第一日本国に四千万人、朝鮮に五百万人、シベリアに五百万人の日本人を配置します。…東亜連盟の盟主は第一日本とします」(『水明り』44頁)
→好戦的侵略主義者ではないか!

(2)「(八田與一は)東亜経済調査局に行って大川周明さんに会ひたい…それから佐藤賢了さんにも会ひたいと言って居りました」(『水明り』67頁 大川周明:5・15事件で禁固五年、日本主義、南進論を主張。佐藤賢了:金沢今町出身の陸軍中将、対米英開戦論者)
→南進論、対米開戦論を支持!

(3)「現在戦争に夢中であるが、南洋各地の平和的鉱、工、農、諸事業を手分けして調査し、何時でも進出出来る様技術者が分担する必要がある」(『水明り』45頁)、
 「(八田與一は)日本が南京、上海を占領すると同時に此の揚子江を利用して発電出来ないかと云ふ計画をやり、日本軍がどんどん進んで漢口に出ますと、武昌の奥の方を締め切って発電出来ないかと計画をし、又その中に黄河の発電計画をやり、珠江についてもよく考へられて全占領地域の計画を樹てて居られました」(『水明り』63頁)、
「(八田與一は)電源の開発については、もう日本のやつも台湾のやつも高いコストになって駄目だ。スマトラのトバ湖のものが一番安い電源であらう。…将来南洋圏で工業を興すにはスマトラで興せと云ふ話をして居りました」(『水明り』67頁)
→侵略的技術者である!

(4)「棉作の方に水田を廻はしてやらう(注:水田を潰して綿花栽培)、それで今年の計画は賄って行かうと云ふ計画を樹てやう、水田を棉作に潰せば、今年の棉は植えられる、米は減るが、来年の雨期の後に生産場所を見つけてやらう」(『水明り』67頁)
→水田で生計を立てている農民のことを考えず、軍用品としての綿花栽培を進める計画!

(5)「どうしても水力電気は必要だと云ふので、内地の資本家を説いて廻らうと云ふので…東京に行って盛んに大甲渓を完成してその電力を使へと、説いて廻った事があります。会社関係や或は海軍省の方に行ったりした」「逓信省、海軍省、三井なんかを説いて廻った」(『水明り』60頁)。
 そのような中で、総督府官僚と大企業間に、「(八田與一は)視察研究のため米国へ出張せられた。而して出立の前にも滞米中も調査や視察に関して、三井物産等の工事関係会社の援助は遠慮なしに受けられ、大いに之を利用せられた相である」(『水明り』43頁)
→ダム建設は農民のためではなく、台湾進出日本企業の電力確保のためであり、官財癒着関係も!

 日帝の台湾植民地支配に順応した李登輝と八田與一を都合よく利用して、日本の台湾支配が正しかったかのように評価することの欺瞞を疑うべきであろう。

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