19750900 書評『女性の歴史』(高群逸枝著)
1975年9月 金沢市田上公1にて
今、島田清次郎の論考「婦人参政権論者の幻滅―最近のパンカースト夫人」(1923年2月『婦人公論』)を読んでいる。この論考を理解するためには、高群逸枝の『女性の歴史』から学び直さねばなら . . . 本文を読む
孝昌公園へ
【朝鮮人特攻兵の刻銘】
二〇〇〇年夏
「こんにちわ。」
「ウゥー、ワン、ワン、ワン。」
「おい、おい、もう十年も来てるんだから、吠えなくてもいいじゃないか。チビ。」
チビの泣き声を聞きつけた具仁哲が顔を出し、「おお、入れや」と、コウを招き入れ、玄関に入ると、右側に応接室と書斎があり、大量の資料が占領している。
「出羽町公園に大東亜聖戦大碑が建てられたのをご存知だと思いますが、見 . . . 本文を読む
小説『野田山日記 甦えれ魂』(第4回)
解放だ、帰国だ
一九四五年九月
「あれっ、アリランじゃないか。」
尹奉吉は、遠くからかすかに聞こえてくるメロディに耳をそばだてていた。それは徐々に大きくなり、萬年が先頭を歩き、女の子三人が続き、基鳳がどん尻で、みんな軽やかな足取りで、歌っていた。
「〽アリラン アリラン アラリよ/アリラン峠を越えて行く/私を捨てて行かれる方は/十里も行けずに足が痛む」 . . . 本文を読む
小説『野田山日記 甦えれ魂』(第3回)
一九四四年春
尹奉吉は萬年に会いたかったが、なかなか来てくれず、気をもんでいた。そこに、キヨを連れて結婚の報告のために、墓参りに来たトシを見つけて、声をかけた。
「トシさん、みんな、どうしているんですか。萬年も、ケンさんも来てくれなくて、寂しくてしょうがないんです。」
トシは暗い顔をして、
「ああ、みんないなくなってね。ケンさんは白紙徴用で家族ごと、厚 . . . 本文を読む
小説『野田山日記 甦えれ魂』(第2回)
暗闇のなかで
一九四二年春
尹萬年が野田山で尹奉吉と会ったあと、日本軍は十二月八日に宣戦布告もせず、マレー半島に上陸し、その一時間後に真珠湾を攻撃し、全面戦争に突入した。年が明け、冬が過ぎ、春を迎えて、萬年はトシ、ケンとともに野田山へ向かった。墓地管理棟の近くで、尹奉吉に声をかけ、小窪家の墓地に向かって坂を降り、緑の苔に覆われた墓地にござを敷いて、車座 . . . 本文を読む
『野田山日記 甦えれ魂』
目次 (1)野田山 / (2)暗闇のなかで / (3)解放だ、帰国だ / (4)孝昌公園へ
参考資料
『上海爆弾事件後の尹奉吉』(二〇一二年、二〇二〇年)/『私的「不二越強制連行」論・記録』(二〇二一年)/『石川県ゆかりの表現者と戦争』(二〇二〇年)/『ユンボンギルと天長節事件始末』(一九九二年)/『大東亜聖戦大碑問題資料集』(二〇〇一年、二〇〇二年)/『金沢の . . . 本文を読む
20220715 安倍銃撃事件を考える
7・8安倍銃撃事件が個人的怨恨から起きたのか、政治的批判から起きたのか、いずれにしても極右政治家・安倍という磁石が、統一教会(勝共連合)を介して、山上徹也という鉄片を引き寄せたことは事実である。万死に値するほどの罪を犯してきた極右政治家が一人消えたことは歓迎すべきことではないか。
この事件は、自民党と統一教会(勝共連合)の癒着関係を白日のもとに晒すこ . . . 本文を読む
政府は教育現場に変形労働時間制を導入しようとしています。
私の友人が福祉施設で働いている時(1993年)、施設が変形労働時間制を導入しようとしました。労働組合もない職場でしたが、友人が変形制導入後の労働強化を数字で導き出し、仲間に説明し、仲間とともに事務長に詰めより、ついに、一部はね返したときのレポートが残っていました。
教育現場への変形労働時間制導入は、労働強化と、児童・生徒への手抜きが待 . . . 本文を読む
昭和四三年刑(わ)第一七〇四号
判決
本籍ならびに住居 ××××××××××××
学生
××× 昭和二二年×月××日生
右の者に対する公務執行妨害、傷害被告事件につき、当裁判所は、検察官田中豊、弁護人OA出席のうえ審理し、つぎのとおり判決する。
主文
被告人を懲役五月に処する。
この裁判の確定した日から二年間右の刑の執行を猶予 . . . 本文を読む
金沢大学で配布された当時のビラ3枚を読んでもらいたい。私や友人たちが、如何にベトナム戦争と向き合い、同世代の「死」の衝撃に苦悩していたか。そして50年を経て、70歳の老人になっても、その精神だけは失うまいと、…。(だれが書いたかは確証はないが、Nさんではないだろうか) . . . 本文を読む