20240226 もしも原発事故ならば、その時の風向は
2011年の福島原発事故を見ると、高濃度の放射能は30キロ以上離れた飯舘村にまで及んでいる(図1)。志賀原発からの30キロ圏といえば、北は輪島市(35キロ)、東は七尾市(20キロ)、南東は氷見市(25キロ)、南は七塚町(30キロ)まで含まれる。
政府は5キロ圏内(図2、表1)は即時移動、30キロ圏内は屋内退避としているが、道 . . . 本文を読む
孝昌公園へ
【朝鮮人特攻兵の刻銘】
二〇〇〇年夏
「こんにちわ。」
「ウゥー、ワン、ワン、ワン。」
「おい、おい、もう十年も来てるんだから、吠えなくてもいいじゃないか。チビ。」
チビの泣き声を聞きつけた具仁哲が顔を出し、「おお、入れや」と、コウを招き入れ、玄関に入ると、右側に応接室と書斎があり、大量の資料が占領している。
「出羽町公園に大東亜聖戦大碑が建てられたのをご存知だと思いますが、見 . . . 本文を読む
小説『野田山日記 甦えれ魂』(第4回)
解放だ、帰国だ
一九四五年九月
「あれっ、アリランじゃないか。」
尹奉吉は、遠くからかすかに聞こえてくるメロディに耳をそばだてていた。それは徐々に大きくなり、萬年が先頭を歩き、女の子三人が続き、基鳳がどん尻で、みんな軽やかな足取りで、歌っていた。
「〽アリラン アリラン アラリよ/アリラン峠を越えて行く/私を捨てて行かれる方は/十里も行けずに足が痛む」 . . . 本文を読む
小説『野田山日記 甦えれ魂』(第3回)
一九四四年春
尹奉吉は萬年に会いたかったが、なかなか来てくれず、気をもんでいた。そこに、キヨを連れて結婚の報告のために、墓参りに来たトシを見つけて、声をかけた。
「トシさん、みんな、どうしているんですか。萬年も、ケンさんも来てくれなくて、寂しくてしょうがないんです。」
トシは暗い顔をして、
「ああ、みんないなくなってね。ケンさんは白紙徴用で家族ごと、厚 . . . 本文を読む
小説『野田山日記 甦えれ魂』(第2回)
暗闇のなかで
一九四二年春
尹萬年が野田山で尹奉吉と会ったあと、日本軍は十二月八日に宣戦布告もせず、マレー半島に上陸し、その一時間後に真珠湾を攻撃し、全面戦争に突入した。年が明け、冬が過ぎ、春を迎えて、萬年はトシ、ケンとともに野田山へ向かった。墓地管理棟の近くで、尹奉吉に声をかけ、小窪家の墓地に向かって坂を降り、緑の苔に覆われた墓地にござを敷いて、車座 . . . 本文を読む
『野田山日記 甦えれ魂』
目次 (1)野田山 / (2)暗闇のなかで / (3)解放だ、帰国だ / (4)孝昌公園へ
参考資料
『上海爆弾事件後の尹奉吉』(二〇一二年、二〇二〇年)/『私的「不二越強制連行」論・記録』(二〇二一年)/『石川県ゆかりの表現者と戦争』(二〇二〇年)/『ユンボンギルと天長節事件始末』(一九九二年)/『大東亜聖戦大碑問題資料集』(二〇〇一年、二〇〇二年)/『金沢の . . . 本文を読む
20240220 自然を侮(あなど)れば、志賀原発は……
逃げられない!
原発事故には原発単独の事故もあれば、地震や津波と併発する複合災害もある。2024能登半島地震(震度7)によって、国道249号の25区間が通行止め(1/5時点)になったという(2/8北中)。これじゃ、志賀原発で原子炉事故が起きても、周辺の住民は逃げようと思っても、土砂や亀裂で陸路(249号線、能登里山海道)が塞がれ、福浦港 . . . 本文を読む
2024能登半島地震と技能実習生
2024年能登半島地震で最初に頭をよぎったのは志賀原発で、その次はアジア諸国から来日している技能実習生のことであった。
石川県内の在日外国人は1万8302人で、そのうち技能実習生は4637人(2023年6月)で(1/22北中)、能登地域では3200人を超えているという(2/8NHK)。
『NHK』では1月6日に、『北陸中日新聞』では1月8日に報道し、その後 . . . 本文を読む
20240205 志賀原発の周りじゅうに活断層!
第1図は2024年1月1日以降に頻発している能登半島地震の震源域である。北東に延びる活断層帯があり、最大M7.6(震度7)を筆頭に地震がくりかえし襲っている。志賀原発(★印)はその活断層帯の端っこに位置している。
第1図 第2図
第2図は「原子力資料情報室通信」(586号/2023/4/1)に掲載 . . . 本文を読む