『僕の狂ったフェミ彼女』(ミン・ジヒョン著/2019年/日本語版2022年)
題名が気に入らなかったが、読むことにした。図書館から借りて戻ると、連れ合いが先に、「読みたい」という。笑いを抑えながらか、ときどき、「こんなんよ!」と感想を話してくれ、読み終えたあと、私の手元に来た。
フェミニスト「彼女」と「普通」の青年スンジュンの世界観の対立とズレの物語である。スンジュンは愛を育んで、結婚して、子どもを作って、家庭を作るという「夢」を描いているが、…。
スンジュンから「世の中がそんなに簡単に変わると思ってんのか? 変わんないんだよ」(279p)、「歳とって孤独死するときにせいぜい後悔するんだな」(281p)と言われても、「彼女」は動じることなく、「少なくとも私は変わるはず」(279p)と、自己変革と対象変革の弁証法的思考で答えるところが気に入った。
「彼女」は「結婚を諦めたんじゃなくて、人生を選択したの」(280p)と言いきり、スンジュンに対して、「ただ何も考えずに、適応して育ってきただけでしょ」(307p)と侮蔑的なまなざしを投げて、この物語は終わる。
著者はあとがきで、「胸と性器だけではなく脳を持った人間」(324p)、「私はフェミニストとして、何一つ諦めたくはありません」(329P)とダメ押しをしている。
自分を多少わかりのいい男だと思っていたが、フェミニストから見れば保守そのものだろうなと、連れ合いの目を気にしながら、本を閉じた。
追伸:著者紹介に、『あんにょんサヨナラ』の制作スタッフだったと書かれている。不二越強制連行訴訟に取り組んでいた時に、その出演者イ・ヒジャさんには大変お世話になり、裁判を最後までやりぬくことができた。
題名が気に入らなかったが、読むことにした。図書館から借りて戻ると、連れ合いが先に、「読みたい」という。笑いを抑えながらか、ときどき、「こんなんよ!」と感想を話してくれ、読み終えたあと、私の手元に来た。
フェミニスト「彼女」と「普通」の青年スンジュンの世界観の対立とズレの物語である。スンジュンは愛を育んで、結婚して、子どもを作って、家庭を作るという「夢」を描いているが、…。
スンジュンから「世の中がそんなに簡単に変わると思ってんのか? 変わんないんだよ」(279p)、「歳とって孤独死するときにせいぜい後悔するんだな」(281p)と言われても、「彼女」は動じることなく、「少なくとも私は変わるはず」(279p)と、自己変革と対象変革の弁証法的思考で答えるところが気に入った。
「彼女」は「結婚を諦めたんじゃなくて、人生を選択したの」(280p)と言いきり、スンジュンに対して、「ただ何も考えずに、適応して育ってきただけでしょ」(307p)と侮蔑的なまなざしを投げて、この物語は終わる。
著者はあとがきで、「胸と性器だけではなく脳を持った人間」(324p)、「私はフェミニストとして、何一つ諦めたくはありません」(329P)とダメ押しをしている。
自分を多少わかりのいい男だと思っていたが、フェミニストから見れば保守そのものだろうなと、連れ合いの目を気にしながら、本を閉じた。
追伸:著者紹介に、『あんにょんサヨナラ』の制作スタッフだったと書かれている。不二越強制連行訴訟に取り組んでいた時に、その出演者イ・ヒジャさんには大変お世話になり、裁判を最後までやりぬくことができた。