2025年 防衛白書について
7月15日、「2015年防衛白書」が発表された。ネット上で各メディアが論評を加えているが、「(中国)わが国の安全に深刻な影響」、「(北朝鮮)重大かつ差し迫った脅威」などと、中国(朝鮮)脅威を煽りたて、だから「統合作戦司令部」だ、「敵基地攻撃能力(ミサイル部隊の強化や弾薬庫の新増設)」だ、「財源確保を推進」などと、軍事大国に向かってひたすら邁進している(自民、立民、民主、維新、参政は参院選挙で、日米同盟の維持・強化を公約)。
防衛白書が発表された真っ只中で、7月9日から日本周辺空域で、アメリカ空軍主催の訓練「レゾリュート・フォース・パシフィック」が始まっている。航空自衛隊(航空総隊、航空支援集団、航空教育集団等、人員約3100人、航空機約50機)、米軍(太平洋空軍、在日米軍等のF35Aステルス戦闘機など数十機)が参加しておこなわれる。
同訓練は米空軍史上、最大規模だという。「ACE(迅速な戦闘展開)」と呼ばれる運用構想に基づき、中国との戦闘を念頭に、ミサイル攻撃で滑走路が破壊されても自衛隊基地や民間空港に部隊を分散させ、移動しながら運用する能力を高めるための訓練である。小松基地では、7/21~滑走路被害復旧訓練、7/22~米軍戦闘機展開訓練がおこなわれる。
アメリカ・トランプ政権は、中国との軍事的緊張を高め、アジアに戦争の火種をばらまいている。まさに「マッチポンプ」方式で、アジアにおける権益を確保しようとしている。トランプは日本の防衛費をGDP比3・5%にせよと要求し(6/21)、自衛隊もトランプの尻馬に乗って、台湾海峡に海自護衛艦を通過させ(2024/9、2025/2、2025/6/12)、緊張を高める役割を果たしている。
今年(2025年)に入ってからの切り抜き帳から、小松基地などの軍事情勢について、俯瞰する。
①台湾及び東アジア情勢
昨年9月海自護衛艦「さざなみ」が台湾海峡を通過し、2月上旬にも護衛艦「あきづき」が台湾海峡を通過したと報道されている。2月10~12日にかけて、米軍ミサイル駆逐艦も通行した。2月10日、米原子力潜水艦「アレクサンドリア」が釜山に寄港した。2月13日には、仏海軍の空母艦隊が沖縄のホワイトビーチに寄港している。2月20日、朝鮮半島上空で米韓合同演習がおこなわれ、米軍はB1B戦略爆撃機を参加させた。3月30日、オーストラリア前首相は「有事の際は、原子力潜水艦を台湾や沖縄に派遣する」と話している。このような包囲網にたいして、中国は4月2,3日台湾周辺で軍事演習をおこなっている。5月20日、米軍+フィリピン軍が南シナ海で軍事演習。6月12日、海自護衛艦「たかなみ」の台湾海峡通過。7/9~8/4レゾリュート・フォース・パシフィック(小松基地で、7/21~滑走路被害復旧訓練、7/22~米軍戦闘機展開訓練)。
②防衛費の膨張
2月7日のトランプとの会談で、大型輸送機C17(1機300億円以上)を購入すると約束し、17日、石破首相は「2027年度よりあとの防衛費について、GDP比2%超にする」と発言した。3月4日には、米国防次官補は日本の防衛費をGDP比3%にせよと要求している。グラフ(ネット上から拝借)で見るとおり、2022年度までは5兆円前後だったのに、4月15日、2025年度の防衛費+関連経費が9兆9000億円になり、GDP(2022年度)比1.8%にまで膨れ上がっている。

5/5「北中」では、2022年策定の防衛力整備計画では2023~27年度の防衛費を43兆円としたが(2027年度防衛費=GDP比2%)、さらに増額を検討しているとの記事が掲載された。トランプは「日本の防衛費をGDP(国内総生産)の3・5%に」と要求した(6/22「北中」)。
6/2「北中」によれば、2015年から9年間で、22大学の研究者に27億3000万円を助成し、軍事研究に導き、立命館大学は立命館憲章から「戦争の痛苦の体験を踏まえて」、「歴史を誠実に見つめ」という文言を削除しようとしている。
③軍事同盟の強化
1月11日、石破はインドネシア大統領との会談で、安全保障協力を約束した。1月15日、中谷防衛大臣はイギリス空母群を防衛すると約束した。1月31日、中谷防衛大臣と米国防長官との間で、尖閣諸島防衛(日米安保条約第5条適用)を約束した。2月24日、中谷防衛大臣がフィリピンを訪問し、両国の軍事的連携強化を確認した。4月8日、米海軍が嘉手納基地に大型無人偵察機を配備すると通告した。4月19日、海自掃海艦2隻がカンボジアの海軍基地に寄港(中国を牽制)した。4/25「北中」によれば、米軍グアム基地の司令部、兵舎などの建設のために、日本は3800億円拠出。
5/25「北中」によれば、南太平洋のフィジー(同志国軍)に警備艇や救助艇など(4億円相当)を供与すると報道されている。
④準戦時体制構築
防衛省は急速に防衛費を増額しながら、3月24日、陸海空3自衛隊を一元的に指揮する「統合作戦指導部」を発足させた。3月30日、米国防長官は在日米軍司令部を作戦指揮権を持つ「統合軍司令部」に再編し、自衛隊をその傘下に置こうとしている。まさに準戦時体制に移行しようとしているのだ。
そのもとで、4月1日、小松基地にF35Aを3機配備し、6/18追加配備2機、最終的には2飛行隊40機とし、対朝鮮攻撃能力を強めようとしている。また政府は「特定利用空港・港湾」に金沢港など8カ所を加えて、合計36カ所とすると発表した(4/2「北中」)。7月9日、対中国攻撃態勢を強化するために、陸自佐賀駐屯地を開設し、オスプレイ17機を配備した(7/10「北中」)。
日本列島をハリネズミのようにしようというのだ。
7月15日、「2015年防衛白書」が発表された。ネット上で各メディアが論評を加えているが、「(中国)わが国の安全に深刻な影響」、「(北朝鮮)重大かつ差し迫った脅威」などと、中国(朝鮮)脅威を煽りたて、だから「統合作戦司令部」だ、「敵基地攻撃能力(ミサイル部隊の強化や弾薬庫の新増設)」だ、「財源確保を推進」などと、軍事大国に向かってひたすら邁進している(自民、立民、民主、維新、参政は参院選挙で、日米同盟の維持・強化を公約)。
防衛白書が発表された真っ只中で、7月9日から日本周辺空域で、アメリカ空軍主催の訓練「レゾリュート・フォース・パシフィック」が始まっている。航空自衛隊(航空総隊、航空支援集団、航空教育集団等、人員約3100人、航空機約50機)、米軍(太平洋空軍、在日米軍等のF35Aステルス戦闘機など数十機)が参加しておこなわれる。
同訓練は米空軍史上、最大規模だという。「ACE(迅速な戦闘展開)」と呼ばれる運用構想に基づき、中国との戦闘を念頭に、ミサイル攻撃で滑走路が破壊されても自衛隊基地や民間空港に部隊を分散させ、移動しながら運用する能力を高めるための訓練である。小松基地では、7/21~滑走路被害復旧訓練、7/22~米軍戦闘機展開訓練がおこなわれる。
アメリカ・トランプ政権は、中国との軍事的緊張を高め、アジアに戦争の火種をばらまいている。まさに「マッチポンプ」方式で、アジアにおける権益を確保しようとしている。トランプは日本の防衛費をGDP比3・5%にせよと要求し(6/21)、自衛隊もトランプの尻馬に乗って、台湾海峡に海自護衛艦を通過させ(2024/9、2025/2、2025/6/12)、緊張を高める役割を果たしている。
今年(2025年)に入ってからの切り抜き帳から、小松基地などの軍事情勢について、俯瞰する。
①台湾及び東アジア情勢
昨年9月海自護衛艦「さざなみ」が台湾海峡を通過し、2月上旬にも護衛艦「あきづき」が台湾海峡を通過したと報道されている。2月10~12日にかけて、米軍ミサイル駆逐艦も通行した。2月10日、米原子力潜水艦「アレクサンドリア」が釜山に寄港した。2月13日には、仏海軍の空母艦隊が沖縄のホワイトビーチに寄港している。2月20日、朝鮮半島上空で米韓合同演習がおこなわれ、米軍はB1B戦略爆撃機を参加させた。3月30日、オーストラリア前首相は「有事の際は、原子力潜水艦を台湾や沖縄に派遣する」と話している。このような包囲網にたいして、中国は4月2,3日台湾周辺で軍事演習をおこなっている。5月20日、米軍+フィリピン軍が南シナ海で軍事演習。6月12日、海自護衛艦「たかなみ」の台湾海峡通過。7/9~8/4レゾリュート・フォース・パシフィック(小松基地で、7/21~滑走路被害復旧訓練、7/22~米軍戦闘機展開訓練)。
②防衛費の膨張
2月7日のトランプとの会談で、大型輸送機C17(1機300億円以上)を購入すると約束し、17日、石破首相は「2027年度よりあとの防衛費について、GDP比2%超にする」と発言した。3月4日には、米国防次官補は日本の防衛費をGDP比3%にせよと要求している。グラフ(ネット上から拝借)で見るとおり、2022年度までは5兆円前後だったのに、4月15日、2025年度の防衛費+関連経費が9兆9000億円になり、GDP(2022年度)比1.8%にまで膨れ上がっている。

5/5「北中」では、2022年策定の防衛力整備計画では2023~27年度の防衛費を43兆円としたが(2027年度防衛費=GDP比2%)、さらに増額を検討しているとの記事が掲載された。トランプは「日本の防衛費をGDP(国内総生産)の3・5%に」と要求した(6/22「北中」)。
6/2「北中」によれば、2015年から9年間で、22大学の研究者に27億3000万円を助成し、軍事研究に導き、立命館大学は立命館憲章から「戦争の痛苦の体験を踏まえて」、「歴史を誠実に見つめ」という文言を削除しようとしている。
③軍事同盟の強化
1月11日、石破はインドネシア大統領との会談で、安全保障協力を約束した。1月15日、中谷防衛大臣はイギリス空母群を防衛すると約束した。1月31日、中谷防衛大臣と米国防長官との間で、尖閣諸島防衛(日米安保条約第5条適用)を約束した。2月24日、中谷防衛大臣がフィリピンを訪問し、両国の軍事的連携強化を確認した。4月8日、米海軍が嘉手納基地に大型無人偵察機を配備すると通告した。4月19日、海自掃海艦2隻がカンボジアの海軍基地に寄港(中国を牽制)した。4/25「北中」によれば、米軍グアム基地の司令部、兵舎などの建設のために、日本は3800億円拠出。
5/25「北中」によれば、南太平洋のフィジー(同志国軍)に警備艇や救助艇など(4億円相当)を供与すると報道されている。
④準戦時体制構築
防衛省は急速に防衛費を増額しながら、3月24日、陸海空3自衛隊を一元的に指揮する「統合作戦指導部」を発足させた。3月30日、米国防長官は在日米軍司令部を作戦指揮権を持つ「統合軍司令部」に再編し、自衛隊をその傘下に置こうとしている。まさに準戦時体制に移行しようとしているのだ。
そのもとで、4月1日、小松基地にF35Aを3機配備し、6/18追加配備2機、最終的には2飛行隊40機とし、対朝鮮攻撃能力を強めようとしている。また政府は「特定利用空港・港湾」に金沢港など8カ所を加えて、合計36カ所とすると発表した(4/2「北中」)。7月9日、対中国攻撃態勢を強化するために、陸自佐賀駐屯地を開設し、オスプレイ17機を配備した(7/10「北中」)。
日本列島をハリネズミのようにしようというのだ。