わが敬愛する大西さんのまとめたものです。(らくせき)
各紙社説と解説
☆[中日新聞]社説「河村市長へ三つの注文」
第一は「独裁者になってはいけない」(議会とのチェック&バランス)
二つ目は「名古屋市という会社の社長たれ」(減税も名古屋市の収支をよく考えて)
三つ目は「よく聞いてほしい」(市民の要求で強かったのは医療・子育て)
各地で地方議会改革の波が起こり、首長と議会の衝突も起きている。
掛け声の分権、主権ではなく住民のための本物の自治とは何かを考える時であ
解説「破壊の次の創造を」 斎田太郎社会部長
選挙を通じて取材してきた有権者の声は「減税第一」でも「中京都」でもなく
「早く景気をよくして」であり「社会保障への投資」だった。
公約からすれば、御薗さんや石田さんの方が有権者の求めに近かった。
選挙結果が違ったのは民主や自民が有権者の期待に応えないからだ。
大村・河村連合の戦いは、小泉郵政選挙と似ていた。
単純化した対立構図を作って圧勝したが、郵政選挙の後、
熱から冷めた有権者は「小泉劇場にはまった」と省みた。
今回有権者は劇場型だと分かってなお投票したのではないか。
その敗北感こそ、政党はかみしめなければならない。
大村さん、河村さんはしかし、すべてを白紙委任されたと勘違いしないでほしい。
破壊力は十分見せ付けてくれたが有権者が求めているのは、破壊の後にある創造だ。
それには、次に選挙がある市議、県議との対話が必要だ。
住民が何を求めているか、耳を澄ませてほしい。
そうでなければ、信じて一票を投じた有権者は今度こそ、政治に絶望するしかなくなる。
☆[朝日新聞]社説「次は働く議会作ろう」
政権交代後の混迷もあり、社会の閉塞感は高まっている。
市民は、議会と激突する河村氏に喝采を送った。
特権にあぐらをかいて高い報酬を得ながら地域の暮らしにどう役立ってきたのか、
多くの市民に実感させられなかった。
冷静に考えてみよう。
議員報酬を半減させたところで、浮くお金はせいぜい6億円だ。
河村氏がいう10%減税に必要な200億円に遠く及ばない。
では行政改革で財源が本当に生み出せるのか。
市民サービスが削られないか。
いまこそ行政への監視が必要なときだ。
市民の代表である議会を攻撃するだけでは結局、市民が損をする。
次は議会にどのような人材を送り、どう再生するかである。
各党、各候補に知恵を問いたい。
地域政党を率いる河村氏も「壊す」の次に「作る」方策を見せてほしい。
解説「『庶民革命』の終着点をしめせ」 前田直人
地域は今、ふたつの閉塞感の中にたたずんでいる。
ひとつは、経済の閉塞だ。
豊かだった愛知経済は2008年の金融危機で、一気に崖を転げ落ちた。
「元気な愛知」は過去のものとなった。そして政治の閉塞。
政権交代が起きた09年衆院選。あれから1年半。
政権交代への失望が広がり、民主党への支持は細った。県内の無党派層は6割。
既成政党が支配する議会という「敵」。地域政党という「受け皿」。
河村氏はその二つの道具立てで、不信のマグマをエネルギーに変えた。
対話よりも対決へ突き進む「河村流」は粗暴で危うい。
行革や議員報酬半額による「倹約」の訴えは共感を得るが、減税への賛否は割れる。
市民たちの思いも一様ではない。
その核心は、「閉塞状況を打破してほしい」という一点にある。
河村氏は大阪の橋下知事と組み、3月の出直し市議選、4月の統一地方選に臨む。
闘争心は十分伝わるが、気になるのは、その旗印である「中京都構想」の具体像を、
いまだまともに説明できていないことだ。
これまでも民意は期待と失望を繰り返してきた。
また新たな失望を招くようなら、罪は重い。
「河村流」がめざす着地点はどこなのか、しっかりと示してほしい。
☆[毎日新聞]社説「既成政党の埋没は深刻だ」
地殻変動を感じさせる異変である。
統一選を前に中央政党の推す候補があえなく敗れる様子は、
民主党をはじめとする既成政党の埋没ぶりを物語った。
政令都市として初のリコールによる議会解散も自治の歴史に刻まれる事態だ。
地方選で苦戦続きの民主党だが、愛知はさきの衆院選で15章選挙区すべてを制した
「民主王国」だけに、深刻だ。
政権交代以来、政治の変化が実感できない有権者の失望といらだちが
河村氏への追い風を呼んでいるのではないか。
自民党もふがいない。知事選は事実上分裂選挙となり、市長選は候補を擁立できなかった。
大阪でも、橋下知事が主導する地域政党が台風の目となりつつある。
政治が迷走する中で、2大政党がかすむ現状の裏返しである。
「旋風」のもうひとつのエネルギー源は、地方議会への住民の不満だ。
今回の投票から、住民の市議会への強い不信感が裏づけられた。
一方で、市議会との対決路線をひた走り、解散を主導した河村氏の手法も危うさを
はらむ。
対立勢力を攻撃し続けるばかりでは市政の歯車は回らない。
減税と市財政の健全化をどう両立させるかなど、
河村氏はより踏み込んで住民に説明すべきである。
☆[読売新聞]社説「危うさ伴なう愛知の劇場型政治」
知事選・市長選・住民投票を連動させる名古屋市河村前市長の戦略が奏功した。
河村氏には、今回の結果におごることなく、独善的な行政運営を慎むよう求めたい。
河村氏の“3連勝”は、「市民税減税の恒久化」を掲げる一方で、
これに反対する市議会を「悪役」に見立てる選挙戦術が的中した結果と言える。
背景には、高すぎる市議報酬に対する市民の強い反発もあったようだ。
しかし、住民に受けの良い政策だけを前面に押したて、
議会との対立を際立たせることを通じて支持を集めるという「劇場型」の政治には、
危うさが伴なう。
減税恒久化は将来世代へのつけ回しにならないか。
「中京都」構想も、具体像が見えていない。冷静な議論が必要だ。
名古屋市議会の出直し選挙は来月行われる。
河村氏は、自らが代表を務める地域政党から多数の候補を擁立し、
定数の過半数を占めることを目指すという。
市議会には本来、市長と一定の緊張関係を保ちつつ、
建設的な議論を通じて、市政の一翼を担う責任がある。
有権者も候補の資質と政策を慎重に見極めてもらいたい。
解説「『河村流』第2幕を注視」 棚橋篤中部支社社会部長
トリプル投票で審判に付されたのはいずれも「河村流」だったと言ってもいい。
河村氏が民主党の推薦を受けて初当選を果たした一昨年4月の名古屋市長選は、
4か月後の政権交代の序章と位置づけられた。
民主党は数々の失態で国民を幻滅させたが、
河村氏は、その民主党をはじめとする既成政党と敵対し、
「固陋な議会と戦う首長」をアピールすることで、
「変革」を願う市民の期待をつなぎ留めた。
さらに既成政党の変革願望の受け皿となって、支持を拡大させた。
有権者が変革を求めるのは、変えてほしい現実があるからだ。
不景気、就職難、老後の心配・・・・。
身近な問題が将来への不安を広げ、閉塞感が社会を覆う。
だが、キャッチフレーズのように「減税」や「中京都」を繰り返してきた
(河村。大村)両氏の訴えから、
有権者の求める変革、すなわち切実な暮らしの問題を解消する具体的な道筋は見
えてこない。
圧勝で2幕目を迎えた河村流はどうなるのか。
変革への期待が失望に変わらぬよう、今後の県政・市政運営を注視していきたい。
概ね、批判的ですね。でも、どこか物足りない気もします。
社説には、なにが足らないのでしょうね?