この問題は今後折に触れエントリーを続ける積もりです。今回はその手始め、表題自身のことです。が、その前に、この重要性について思う所を前置きとして少々。
この問題はここでも何回か扱ってきましたが、現世界諸悪の根源・超格差社会拡大の元凶と観られてきたもの。世界で最も儲けてきた法人、個人などが税を納めない仕組みが許されるならば、以下のような意味でこの世が真っ暗闇になっていくからでしょう。この世界的不況の中では税がさらにどんどん減っていき、教育の機会均等などの「機会の平等」とか、「再チャレンジ」とかの施策がどんどん後退し、あるいは不可能になり、貧富の世襲が広がるばかりになっていくからです。弱者救済・福祉厚生もできません。つまり、民主主義国が骨抜きにされ、名前だけになってしまいます。
さて、この文書は今後5月に全面公開されることになっています。そして、世界の大金持ちと言うよりも、税金逃れ超大会社を、これらがパナマに作ったペーパー会社をば、世界のあちこちで揺るがしていくことが確実視されています。
さて、本論、概要です。最も大事なことだけを、最も簡単にまとめてみました。
①中米パナマの或る法律事務所から、1977~2015年までの1150万点以上の金融情報が世界に漏れた。世界の金持ち個人、ペーパー会社などの金融取引情報、その電子メールや文書などである。
②これらの機密情報は、匿名の提供者からドイツのある新聞社に提供されて、この新聞社とワシントンにある「国際調査報道ジャーナリスト連合」とが分析中である。今回4月初めの公開部分は、記者400人近くが参加してまとめたもの。
③日本の会社なども含めて「関係者」とおぼしき人々がしきりに「合法でしょう?」と煙幕を張り始めていますが、オバマ大統領はこう述べているそうです。
『税金逃れはこれまでもG7などで議論してきた。それらが合法であることが最も問題だ』
そう、為政者にとっては税金が減っていくという問題は、やれることがどんどん少なくなっていくこと。これを防ぐ道は、消費税のような「不人気な大衆課税頼り」しかなくなりますしね。関連して、ペーパーカンパニー以前に、国、自治体による「法人誘致のための、税値下げ競争」というのもありましたっけ。パナマのみならず、こういう「金融」小国は他にもいくつかありましたよね。
(以上のうち①~③部分は、4月8日付の中日新聞記事の最も簡単な要約です)
とこのように、現実はいつも法律よりも先に進むもの。言いかえれば、法は現実を、いつも後から追っかけていくもの。世界に初めて今のような会社ができたイギリスでは「子ども、女性の10数時間労働」というのがあって、「8時間労働制」への戦いが激烈に続いてきたように。
国際金融を取り締まる制度、仕組みが国連に必要だと愚考します。20世紀初めに世界史上初めて国際連盟が、「戦争違法化」の為に出来たように。が、最近の米日にはどうも、国連軽視があるようだ。G7とか、G20とかでも、実質アメリカが国連に替わっていこうとするような。
このパナマ文書だって幾分かはまだ、アメリカの画策という可能性すら危惧しています。プーチン、中国、アサド対策などがいきなりクローズアップされてきましたから。個人マネーばかりに焦点が当たって、大金融操作暴露が脇に置かれるようなことがあったら、大山鳴動ネズミ一匹で、そういうことなのでしょう。米国流「正義」の世界基準化?
日本国の権威、発言権は、このパナマ文書でまたまたどんどん減っていくだろう。世界に頭抜けたその個人貯蓄、対外資産などの金融経済力にも拘わらず、力のない政権の故に。いつの間にか、国際経済で何でもありの恥ずかしい国になっていると愚考するからでもある。パナマ文書に、日本の大商社が名を連ねていると発表され始めたし。
日本金融が攻撃されて、アメリカ金融に「実質被害」が及ばないのなら、これはもう間違いなくアメリカの画策ということになる。新たな「国際基準作り」の画策、一種の金融世界革命。それを新たに、アメリカ優位に持って行く。
そこら辺りをよーく観ていたい。
そして、それ以上に、在日の面々。
与党も野党も、マスコミ、その他色々も、地雷が多過ぎて、
日本では、あまり突っ込まれない事案かも。
問題は法人である。これを止めさせなければ、国庫に入るはずの税金がどんどん減っていくのだから。日本企業であってその権利だけ活用できて税を納めない会社の、それもずーっと継続的に納めてこなかった会社の、これが問題である。各国みんなそうのはずだ。日米欧で、こういう企業に踏み込みことがなければ、パナマ文書リークも、アメリカエスタブリッシュメントの都合による暴露工作と判明したも同然である。
「政府として調査する気はない」
これって、一体何なんだ! 継続的脱税の黙認ということである。これで、プーチン、中国などだけを責めるとしたら、正に笑止。ご都合主義も良い所である。しかも、国民に甚大な被害を与えた脱税の黙認である。
これだけ長期、多額の脱税を認めておいて、消費税値上げとは、笑わせる。金持ちには税をまけてやり、その分だけ多く民衆から税を巻き上げる国、安倍政権ということだ。
こんな理屈は、ピケティの指摘を受けるまでもなく、当たり前のことだろう。それが国連で検討できぬとしたら、各大国政権がこういう連中に買われているとしか思えない。
なにが消費税延期か。こんな事を放置しておいて、10%への値上げが当然のようなやり口は、到底許せるものではない。参院選で鉄槌を下すべきだ。