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「底辺高校で『貧困』再生産」   文科系

2009年11月09日 01時40分49秒 | Weblog
 昨日の毎日新聞に表題の見だしを付けた記事があったので、紹介したい。

【『ドキュメント高校中退』(ちくま書房)の著者、青砥恭さん(61)がこんな実情を独自の調査で裏付けた 】と書かれた前書きがあって、グラフなど図表付きで「暮らし面」半面以上を費やして著者の主張を紹介した力作である。青砥さんは、この10年続いている「高校中退、毎年10万人」という現象を、表題の視点で解いていく。

結論を先に書いておこう。
高校入試合格者の平均点が低い学校ほど次のような特徴が増えていくと、著者は語る。
①授業料減免者率や中途退学者率が非常に多くなる。
②持ち家家庭が減って、賃貸住宅家庭が増え、合格平均点の最高・最低の群間の持ち家比率で、約4倍以上の格差がある。
③「親が自分に期待している」という設問を認める生徒が少なくなっていく。

さて、調査の方法と焦点部分の書き出しは、こういうもの。
【 147ある埼玉の県立高校を入試合格者の平均点で分類し、成績上位の進学校「G1」から下位校の「G5」まで5グループに分けた。04年度の新入生のうち卒業までに退学した生徒の割合は、G1=2%▽G2=3%▽G3=8%▽G4=20%▽G5=33%と、成績が下位になるほど高くなった。授業料減免を受ける生徒の割合も同じ傾向で、G5(19%)はG1(3%)の6倍以上に上った 】
「底辺高校」では、5人に1人が授業料減免を受けているということである。

②についてはこうだ。
【 「持ち家」ではなく賃貸の住宅に住む割合は、G1で1割未満だったが、G5では4割を超えた 】

③は「親は自分に期待している(と思う)か」について、5段階回答の「少しそう思う」と「とてもそう思う」の合計数をグラフから拾って見る。
G1=60.4%、G2=35.5%、G3=33.9%、G4=28.7%、G5=32.3%

この本の作者は今回、こう結んだということだった。
『鳩山政権が掲げる授業料の無償化だけでなく、専門職を学校に置くなど教育と福祉が連携した体制作りや、教科書代・給食費の国庫負担化、返済不要の奨学金制度などを検討する時期だ』


失業者や相対的貧困者が急に増えており、なかなか回復は難しいという今の日本。現在の30代以下は就職氷河期とも呼ばれ、生涯不利な立場に置かれるだろうとも指摘されている。そういう社会に、「どういう家に生まれたか」でこれだけの差を付けて投げ出されるというのは、実に不公正、不条理なことだと考え込んでいた次第だ。本当に腹立たしいことである。
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