今日の中日新聞1面最下段の連載コラム「中日春秋」は、米軍のアフガン撤退正式表明を扱っている。米軍史上最長の20年近く続いたこの戦争の駐留米軍を9月11日までに完全撤退させると、バイデン大統領が正式発表したとあった。この文章の中にこんな下りがあった。
『心配は残る。平和が見通し難い。反政府武装勢力のタリバンは力を持っており、米軍が完全に撤退すれば、また内乱が拡大するおそれがある』
この米軍撤退について今、僕は二つのことを言いたい。
まず、旧タリバン政権、その武装勢力を作ったのはアメリカである。冷戦時代に反親ソ連政権への内乱を組織するべくタリバンに武器弾薬を与え、これを育成してきた。タリバン・アメリカに敗れてソ連軍が撤退するとすぐに、タリバン政権ができたのである。この政権がまた、アメリカによって潰された出来事こそ、後のアフガニスタン戦争であった。
ついで、アフガニスタンのケシ栽培問題(アヘンやヘロインの原料になる)を指摘したい。現在では、世界のケシ栽培の85%がアフガニスタン、特にジャラーラーバード州で行われている。日本で有名な中村哲の診療所がここにもあったというそんな場所なのだが、現在でも4500トンほど生産されている「ケシ」がタリバン政権が出来た後どんどん減って、2001年には185トンにまでなったという事実がある。タリバン政権が崩壊してからはまたケシ栽培が復旧し、CIAが資金源としてこれを活用しているというのも有名な話だ。ちなみに、もう一つの麻薬密造地帯について、ウィキペディアにこうあった。
『もうひとつの麻薬密造地帯の黄金の三角地帯は、東南アジアのタイ、ミャンマー、ラオスの国境が接する場所にある』
今はこれが、アメリカ周辺国で起こっていて、一つはメキシコ、今一つはコロンビア、共に政権とも結びついた麻薬カルテルが有名である。
こんな対外政策は、人種差別意識がないと多分できないはずだが、恐ろしい外交である。ちなみに、アメリカの黒人にこれで人生を捨てていく人々が未だに多いのである。だから差別されるという側面と、財力・学歴など差別が多いからアウトロウになっていく側面との悪循環なのだろうか。