アメリカが、その二銀行破綻からリーマン以来の大揺れで、それが西欧だけでなく世界的な大バンク、クレディ・スイスに波及したその反対側の影の下で、標記のように言いうる歴史的大事件が起こっている。こんな「黒船が来たような世界状況」下で、日本の「選挙と米国だけを政治目的と考えているやの政治家たち」の誰が、明治維新を起こした志士たちのように明日の日本に思いを致しているだろうか? この黒船の内実を書くと、次の三つである。
・クレディ・スイスが危なくなった直接原因は、筆頭株主のサウジアラビアが資金注入要請を断ったからだ。
・そのサウジが、中国の仲介でイランと正常外交関係を合意した。
・クレディ・スイスは、中央銀行の資金注入というリーマンショック時と同じ「新自由主義下の社会主義政策」によって「救われた」けれども、この二つの出来事は、米二銀行破綻の原因になった米系債券の含み損をさらに増やす以上に重大な国際政治的影響を世界に生んでいくことになろう。
ちなみに、サウジ、イランはロシアにも接近して来たのだし、中国の習近平がウクライナのゼレンスキーと会談するという話も流れている。こんな流れが、ウクライナ戦争に重大影響を及ぼすのではないかと、今僕は夢想している。中国がやがてウクライナ戦争停戦の音頭を取るつもりなのだろうとも。そう言えば、新ブラジル政権のルーラがバイデン米大統領の「ウクライナ支援要請」を断った時の理由はこういうものだったなと、今思い出したところだ。
「我々は(G7とは)別に、停戦和平交渉を進めたい」
この我々というのがBRICS諸国(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ)になっていくのは明らかある。そして、世界石油埋蔵量順位を一例として観るとき、1位がベネズエラ、2、4位がサウジ、イランである。これが資源国ロシア、資源大消費国中国(他東アジア圏)と結びついていくとき、「石油支払いドル世界基軸体制」は一体どうなっていくのだろうなどとも考え込んでいる。
サウジとイランが結んだのだから、一帯一路(という大きな政治的イノベーション)は成功していく方向に大きく進んだはずだ。G7とは距離を置き始めたトルコも、ウクライナ停戦に乗り出している。ちなみに、マウリポリのアゾフ大隊陥落の時に人間の盾されていた民間人を助け出したり、ウクライナの農産物輸出を成功させたのが国連であり、その仲介の労を取ったのがトルコだとは、すでに世界が知っていることだ。
国連に対してさえ粗暴すぎてきた軍事大国核国家、親米イスラエルは、今や一体どんな将来像を描けるのだろうか? これとは逆に、アメリカにたびたび革命輸出を図られてきたイラン、ベネズエラ、シリアなどは希望が見えてきたのじゃないか。
そして、ここまで分断され、その憎しみが振りまかれてきている世界ではもう、何が起こるか分からなくなっている。ちなみに一例、米ドローンは戦況偵察・撮影など直接ウクライナ戦争に参加していたからこそ、ロシア軍機が何か液体を振りかけて、故障・墜落させたということのようだ。