東海道五十三次を再スタートする地点に向かうため今、新幹線で名古屋に移動している。
掛川を過ぎて程なく車窓から松並木が見え隠れしている。自分が歩いた松並木だとすぐ分かった。歩き始めたのはまだ二週間前なのに、何故だか遠い昔のような錯覚をしてしまいそうだ。
しかしあの松並木を忘れる筈が無い。歩き始めは自分の足が、まだ“五十三次”に慣れていなかった。二日目の昼食後、足が痛くなり、あの松並木の中でも一番大きな松の木の根元にビニールシートを敷き、休みがてら昼寝をした事があった。気が付けば小一時間もまどろんでいた。
思えば自分が10日間掛けて歩いた距離を、新幹線は約一時間で走り抜ける計算になる。
昨日の定期健診の結果は全く異常無しだった。そして今日、先日雨のため中断した桑名に向かっている。
今日は43番目の宿場・四日市まで歩く予定だ。それから天候次第だが、自分の“五十三次”も亀山宿、関宿、そして鈴鹿峠を越えたら滋賀県に入り、京都・三条大橋までは残り10の宿場になった。
今朝、駅に向かうバス停の側に早咲きの紫陽花が梅雨の晴れ間に咲いていた。この紫陽花は二週間前は小さな蕾だったのにと、時間の流れを感じる。何日か後、三条大橋から逗子に帰って来た時、この紫陽花はどんな彩を見せてくれるのだろう。
盗られる物はなにもない。命が欲しければ持って行け。
無防備の開き直りほど強いものはありません。松の木の下の昼寝は快適だったでしょうね。目が覚めればまた歩き出す。そして、くたびれたら休む。
新幹線は矢のように走り抜ける。ちょっと考えさせられますね。