ここ一週間、お囃子の音色が至る所で聞こえていた。日本中が本格的な夏祭りのシーズンの到来だ。
京都・祇園祭も山鉾巡行を過ぎ、やがて静かになった。
仙台では「六魂祭」と称し東北六県の代表的な祭りが集結し、市内を練り歩いた。人出は想定の二倍以上だったそうだ。
しかし、ここ小坪の恒例の天王祭りは様変わりした。東日本震災による自粛と節電対策をしようと早々に決められていた。
従来は本祭を知らせる宵宮では、夕刻から始めていたお囃子も昼中に済ませた。祭りの間、お神輿は天王浜の御仮屋に安置された。いつもならその正面には舞台を設け、夜になると奉納演芸が捧げられてきたが、これも中止。子供達も楽しみにしていた浜での屋台も、自家発電だけの屋台だけで数も少ない。土地っ子達も何となく手持ち無沙汰に見える。
祭りの一週間、町中に吊るされた提灯に灯が燈ることは無かった。
そう言えば花火大会も、逗子も鎌倉も自粛して今年は中止だと早々に決まっている。
その後ツイッターで沸き起こった「それなら鎌倉市民が自分たちで花火大会をやればいい!」の声。
「さあ、本当にやろう。従来行われて来た材木座海岸で。でも、打ち上げ花火や音の出る派手なものではなく、線香花火でやりましょう」。この大災害の被害者の追悼・鎮魂の意味を込めて行うらしい。
面白い!自分も線香花火を持って参加する積りだ。
お神輿の担ぎ手達の掛け声も何となく静かな天王祭も、何となく過ぎてしまった。
厄を祓い、福を求める気持ちは、今年は特に切実だ。
日本中祭りのない地域はないくらい日本人は祭りが好きだ。歴史的に農業、漁業が生活の中心だった国だから、自然への信仰が強く、全ては人智を超えたところにあるので、自然への畏敬の念と素直に受け入れる心をもっている。
今回の震災にしてもそうだ。大きな地震と津波だけなら、仕方ない、また頑張ろうという気持ちがでてくるが、原発事故には強烈な拒否反応がでている。さてさて、この問題どのように考えたらいいのでしょうか。