早朝浜に行ったら珍しく「オコゼ」が網に掛かっていた。
自分が育った九州北部では、フグが食べられない時期は「オコゼ」を食べる。秋の涼風にはこの魚はよく似合う。
食べ方はフグと良く似ている。薄作りした刺身で子葱を巻き。ポン酢と紅葉おろしで食べる。皮や胆もフグと同じ、から揚げも美味い。
最初にこのグロテスクな魚を食べた人間はよほど空腹だったのではないかと思う。
ナマコや蛸もそうだが、ほかに食べ物があったら先ず手を出さなかったに違いない。生きるか死ぬかの思いで手を出した結果、一人ほくそ笑んだに違いない。
かつてダイビングをしていた時にもたまに「オコゼ」に出会った。この魚に味で参った者には、海の中でも素直な気持で眺める事が出来なくなる。この魚は滅多に泳いではいなくて、皿の上の活き作りと同じ格好で岩の上に乗っかっている。岩に化けている。だから英名はロックフィッシュと言う。
はっと気が付くと手をついたすぐ横に「オコゼ」が居たと言うことも度々で、背びれには強い毒があり、海の中で瞬間的に冷や汗をかいたりするが、冷や汗の次に出てくるのが唾液である。目の前の「オコゼ」を刺身や、から揚げにして皿に盛るのを想像してしまう。
岩のかけらのようなグロテスクな魚を見て、タンクを背負って潜っている人間がゴクリと生唾を飲み込む姿は異常か、又は食文化の一端なのか。
この時期に食する事が多いから「オコゼ」の季語は秋だと考えていたら夏だった。
また、自分の友人達には、所謂ハンサムはいない。
オコゼみたいな個性的な美味を持っている人が殆どだ。
オコゼの話が出ていましたが、どうも釣りには向かない魚のようでオコゼ釣りなんて聞いたことが無い。同種にはカサゴがいるが、器量はずっと良い。
魚も人間も若干器量の悪いほうが味があるという説だが同感だ。自分も器量のいいほうではないので、この説に賛成だがどうしてそうなのかは説明できない。いっぱいやった時にでも語り合いましょう。
まあ、それも寂しい話ですが。