海側生活

「今さら」ではなく「今から」

吹き返しの風

2011年09月05日 | 海側生活

E_016

日本海に抜けるのに一週間以上も時間が掛かった台風12号だった。

速度が遅いだけ各地に豪雨をもたらした。紀伊半島を中心に大きな被害が出た。多数の犠牲者まで出してしまった。
報道によると和歌山・那智勝浦では甚大な被害が出ている。災害対策本部長として陣頭指揮に当たっている寺本眞一町長の妻と長女・早希さんの行方が分かっていない。早希さんは結婚が決まっており、4日が結納だったという。
胸が痛む。

ここ小坪の漁港でも舟の避難は今回は早かった。小型船は浜の最も高い位置まで引き上げ、大型船は油壺港へと避難した。この間、漁はもちろんしない、出来ない。釣り船も当然出船しない。
それから一週間が経ち、ここは特に被害は無かった。台風の中心が日本海に抜けた頃、今まで何処に避難していたのか全く姿を見せなかった多数の鴎が港に舞い戻ってきた。時を同じくして避難していた大型舟が一艘、又一艘と港に帰ってきた。空を見上げると午前中の低くて灰色の雲は、勢いよく北へ流れている。青空も覗いてきた。合間に高い位置に見える雲は形が崩れた鰯雲みたいだ。吹く風も随分弱くなった。海はまだうねりがかなり残っている。
大型船の船長が言う。「長い避難だった。たまにあるけど台風が通過した後にそれまでと異なる風向から吹く強い風、いわゆる“吹き返しの風”が、今度の台風は、無いだけ良かった」と。

浜も明朝からは久し振りに活気付くだろう。

台風が日本列島でユックリしている間に野田政権が誕生した。
これまで随分長い間、新政権が生まれる度に「少しは良くなるだろう」と期待した人も多い。
今度こそあらゆる面で沈みっ放しの日本に“吹き返しの風”が吹いて欲しい。


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1 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
    海を見る鴎の群れや野分後 (宮本靖夫)
2011-09-08 23:45:59
    海を見る鴎の群れや野分後
風が吹いたらどこかに避難し、雨が降ったら外にでない、日の強いときは日陰に隠れる。虫も鳥も獣も人間もおなじことだ。その中でも人間だけは予知能力が劣ってしまい、いつも災難に遭っている。
自然を征服するなんてことは諦めて、原始時代の人間に戻り、もっと予知能力を鍛えたほうがいいのではなかろうか。
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