久し振りに今朝、虹を見た。
今にも消え入りそうな儚い色をして、海面のやや上から右上に掛けてちょうど円の真上辺りで虹は消えている。このまま延びれば箱根連山、富士山をすっぽり包んでしまうであろう所に架かった虹だ。従来ならばあるだろう形の右端に目をやると、そこには同じ色をした虹が少しだけ顔を覗かせている。思わずシャッターを押した。
飽きずに眺めているとやがて微かに差していた太陽の光は殆どなくなり、厚くしかも低い雲が一面に現れてきた。そして虹は消えた。そのうちに霧が見る見るうちに漂ってきた。ベランダに立つ自分にも霧がまとわり付き、顔に水滴が付き唇も湿ってくるのを感じる。空と海との境も完全に見えなくなってきた。先ほどまで見えていた沖の釣り船も全く見えない、数十メートル先の堤防すら見えなくなった。鳥すら飛んでいない。
反対側のベランダから外を見ると、南から霧がかなりの早さで山裾を縫うように流れていくのが見える。100メートルの高さの裏山も殆ど見えない。時々、鶯の鳴く声だけがどこからともなく聞こえてくる。
まるで夏の高原で朝を迎えているような雰囲気の眺めだ。
30分も経った頃、又薄日が差してきたかと思うと、徐々に霧も晴れてきた。
こんな梅雨もあるのか、と思う。
沖に目をやると白波が立ち始め江ノ島も見え始めていた。
海側生活は今日も時間ごとに変化する、飽きる事がない。
虹を見て、感動したり昔を思い出したりするのは人間だけだろうし、それも心にゆとりのある人だと思う。
海側生活を満喫している様子、羨ましいかぎりです。
忙しがっていて、本欄をみていませんでした。虹は夏の
季語なので、気の利いた句でもと思ったのですが、なかなか難しいです。