海側生活

「今さら」ではなく「今から」

「テーゲー」に生きる

2017年01月19日 | 感じるまま

(浄智寺)
冷たい北風に頬も耳も指先もキリキリと痛い。
これから大寒を経て立春を過ぎ、雨水を迎えて陽射しの力強さを身に感じるようになる頃までは、この自分の細い体は寒気に身が益々細る思いだ。

日々の生活でも冷たい北風に劣らない逆風は必ずやって来るもの。何をしても上手くいかない。ジタバタするほど事態が悪化していく。こんな時、現役の頃はそれでも前に進むことだけしか考えられなかった。

しかし今、海側生活を続けて、考え方も大きく変わった。
運命の風向きが変わるまで、ジッと耐えて、出来れば個人的なお楽しみに耽る。問題とは何の関係も無い小説を読むのも、歌舞伎や映画を観たり、またなるべく長期間スキーに出掛けたり温泉で過ごすのも良い。どこかのタレントをオッカケするのも良い。どんなくだらないことでも良い。人には自慢できないが、それをやっている間、自分は楽しく集中できる。他の苦労や苦痛は忘れられる。そんな趣味に打ち込む。

人なんて誰もが特別の存在ではない。
暖めれば花も咲かすし、傷つければ萎む。人間も植物のようにそれほど強いものではない。運の風だって悪い方に吹くばかりではない。調子の悪い時は楽しみながら一休みしよう。自分が悪い、社会が悪いと責めても何の解決にもならない。

自分の好きな沖縄言葉に「テーゲー」と言うのがある。物事について徹底的に突き詰めて考えず、程々の良い加減に生きていこうという意味らしいが、「大概(たいがい)」の琉球漢字音で、大体、適当、おおよそ、まずまず、そこそこ、なあなあ、といったニュアンスらしい。
沖縄の気候と共に「テーゲー」の生き方は心身が穏やかになる。

運命の逆風と言うものは必ずしも人にとって悪いものばかりをもたらす訳ではない。
しかし人間の身勝手な性質として、良いことは当たり前として受け取りがちだ。