OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

ボサノバ二人ぼっち

2007-06-07 17:32:59 | Weblog

いよいよ本格的に暑苦しくなってきましたね。

それでもクーラーがあまり好きではない私ですから、涼をとるには、こんなCDを楽しんでいます――

Once I Loved / Irio De Paula invites Fabrizio Bosso (Philology)

人生、何事も出会いは大切ですが、大好きなトランペッターのファブリツィオ・ボッソと私が邂逅したのは、このアルバムです。

それは元々、ボサノバ系のアルバムをあれこれ探していた時に引っ掛かった1枚で、後述しますが、とにかく演目が最高なんですねぇ♪

またリーダーのイリオ・デ・パウラはブラジル出身のギタリストですが、何故かイタリアで活動しているという、本場の人!

で、録音は2003年1月15日、全曲が2人のデュオで演じられているという、煩くないボサノバジャズになっています――

01 Once I Loved
02 Night And Day
03 Summer Samba
04 O Amor Em Paz
05 Just Friends
06 Wave
07 Samba De Uma Nota So

というように、アントニオ・カルロス・ジョビンの代表曲に有名スタンダードを入れた演目が、繰り返しますが、魅力的です。

肝心の演奏は、まず冒頭の「Once I Loves」がシンプルな快演♪

イリオ・デ・パウラの素朴な伴奏で歌心の真髄を披露するファブリツィオ・ボッソが、何と言っても最高です♪ あぁ、こんな優しい歌心を持ったトランペッターが、この世に居たなんてっ!!! というのが、最初の感想でした。柔らかい音色も素晴らしいですし、長いフレーズを一息でやってしまう、驚異の肺活量にも絶句です。

またイリオ・デ・パウラは生ギターで通していますが、失礼ながら、決してテクニック抜群の人ではありません。しかしツボを押えた伴奏とシンプルなアドリブソロには、心を捕らえて放さないものがあります。

そしてこの「Once I Loves」は、微妙な昭和歌謡曲モードが潜んでいて、なんとなく1970年代のロマンポルノや青春映画のサントラのような雰囲気が漂います。あぁ、何回聴いていも、グッと惹きつけられます♪

また、有名ボサノバヒットの「Summer Samba」では、あの楽しいテーマメロディの素直な解釈が最高です。イリオ・デ・パウラのギター伴奏もバッチリです。あぁ、ギターとトランペットの相性が、こんなにも良いなんてっ! もちろんファブリツィオ・ボッソのアドリブは歌心の塊で、聴くほどにシビレまくりです。

他にも、夜の倦怠感が心地良いような「O Amor Em Paz」とか、お馴染みの「Wave」の自然体のボサノバ感覚が、やっぱり素敵です♪

そして気になるスタンダート「Night And Day」は、ミュートで迫るファブリツィオ・ボッソをシンプルなボサビートで迎え撃つイリオ・デ・パウラのギターが素晴らしく粋♪ こんな演奏をホテルのカクテルラウンジで聞いたら、その後に美女とのお楽しみもあるような気分にさせられますねぇ~♪

ちなみにファブリツィオ・ボッソのミュートはマイルス・デイビス味も仄かにありますし、さらに欧州の名人=ダスコ・ゴイコビッチの色合も感じられますが、要所で聞かせる早いフレーズの連なりや複雑でイヤミの無いアドリブ構成は、天才性の証だと思います。

そのあたりはオープンで優しく吹いてくれる「Just Friends」にも顕著で、あくまでもジャズに拘りたいファブリツィオ・ボッソと、それを百も承知のイリオ・デ・パウラの懐の深さが何ともいえません。う~ん、ファブリツィオ・ボッソは物凄いアドリブです!

そしてオーラスの「Samba De Uma Nota So」はご存知「One Note Samba」ですから、楽しくてクールな情熱が、本当に眩い快演♪

ということで、個人的には大好きなアルバムなんですが、難点はイリオ・デ・パウラのソロパートが全くのギターソロになるんで、やや物足りない空間になっていることです。

まあ、このあたりは好き嫌いの問題かもしれませんが……。

しかしファブリツィオ・ボッソの凄いとしか言えないトランペットをサポートして、尚且つ煽るイリオ・デ・パウラのギターは最高♪ こうして素晴らしい演奏を残してくれたことに、私は素直に感謝感激しています。

これからの鬱陶しい季節、クールで熱い1枚として、ぜひとも聴いてくださいませ。

コメント (5)
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