今日は私の大好きな女優、ひし美ゆり子様の誕生日♪
なんと還暦だというのに、その美しさは時代超えて、私を和ませてくれます。
もちろん、内面の優しさとか親しみやすさ、ホノボノとした雰囲気は、とてもスタアらしくないところで、否、これが真のスタアの姿なのかもしれません。
私も良い歳のとりかたをしたいもんですが、その前に、日々の反省しなければ……。
ということで、本日は――
■Cool Blues / Jimmy Smith (Blue Note)
名門ブルーノートレーベルの大スタアと言えば、まずジミー・スミス! 膨大な量のレコーディングから作られたリーダー盤は、その全てがモダンジャズのひとつの側面を作り上げていると思います。
と、大袈裟な書き出しをしてしまいましたが、実際、ブルーノートに残されたジミー・スミスのアルバムは、どれも似たような雰囲気なのに、よくも飽きずに作られ、売れていたというミラクルがあるからです。
さらに次々と出てくる未発表音源!
このアルバムもそうした1枚で、最初は確か1980年頃にアナログ盤として登場したはずです。しかも豪華なメンツによる迫力のジャムセッションでしたから、たまりませ♪
そしてさらに仰天させられたのが、すっかりCD時代になった2002年に突如発売されたセッション完全盤です。ちなみに前述のアナログ盤には4曲が収録されていましたが、どうやら一部に編集もあったようです。それがこのCDでは、曲が追加された上に編集部分も復元されたようなので、非常に嬉しいプレゼントになりました。
録音は1958年4月7日、ニューヨークの「スモールズ・パラダイス」という店でのライブセッションで、メンバーはジミー・スミス(org)、エディ・マクファーデン(g)、ドナルド・ベイリー(ds) というレギュラートリオはもちろんのこと、特別ゲストがルー・ドナルドソン(as)、ティナ・ブルックス(ts)、アート・ブレイキー(ds) というドロドロに黒い豪華版です。
ちなみに、舞台となった店は黒人客中心だったと言われています――
01 Dark Eyes
哀愁を含んだお馴染みのロシア民謡を素材に、リラックスしたハードバップが繰り広げられています。
まずテーマメロディのイナタイ合奏が良いですねぇ~♪ ちなみに、ここから3曲のドラムスはアート・ブレイキーですから、演奏の魅力となっている強烈なグルーヴは保証付きです。
アドリブパートの先発はルー・ドナルドソンが和み優先で楽しく、続くティナ・ブルックスはシンプルな黒っぽさを遺憾なく発揮してくれますが、まあ、このあたりは後の演奏を思えば小手調べかもしれません。それよりも客席から飛び出す掛声とか声援の雰囲気の良さに、酔ってしまいます。
またギターのエディ・マクファーデンが、フレーズの泥臭さを逆手に取った骨太アドリブで好感が持てます。もちろんケニー・バレルのようなスマートさは微塵も無いのが、逆に魅力なんですねぇ~♪
そして、お待たせしました、満を持して飛び出すジミー・スミスが最初っから暴走気味! 早弾きオルガンの真髄を聞かせてくれます。あぁ、このアグレッシブなノリは、いったいどうしたんだっ! 流石のアート・ブレイキーも力感満点のハイハットを駆使して、必至のリズムキープです。あぁ、もうフリー寸前!
ですからラストテーマが出てくると、ホッと一息という快楽地獄なのでした。
02 Groovin' At Small's
これまたタイトルどおりにグルーヴィなハードバップのブルース大会です。
しかもテーマメロディには絶妙のホノボノ感覚がありますから、否が応でも和みます♪
それはアドリブ先発のルー・ドナルドソンにとっても望むところだったんでしょう、とにかく泣いて笑って熱くさせるという、抜群のお家芸を完全披露です♪
またエディ・マクファーデンのギターが、ここでも「味」の世界です。アドリブフレーズはシンプルなんですが、バックのジミー・スミスのベースパターンや味付けのリフが良い感じで聴こえてきますから、結果オーライだと思います。
そして続くティナ・ブルックスが唸りの一撃というか、本当に黒いフィーリング満点のハードバップ節を聞かせてくれます。背後から煽るジミー・スミスとアート・ブレイキーの恐いビートの嵐も、実に最高!
さらにジミー・スミスのブルースオルガンの真髄が強烈です! しかもやたらに爆走するのでなく、ツボを押えてジワジワと盛り上げていくのですから、たまりません。クライマックスでの熱さには歓喜悶絶必至です!
03 Announcement By Babs Gonzales
ここで一息、ビバップ歌手のパブス・ゴンザレスから簡単なバンド紹介がありますが、当時の黒人クラブの雰囲気が楽しめる瞬間になっています。
04 A Night In Tunisia
こうして始るのが、ハードバップに欠かせない迫力の名曲「チュニジアの夜」です。もちろんアート・ブレイキーが十八番のアフリカンビートを敲きまくり! 必然的にテーマ合奏も熱いです。
アドリブパートでは、あのブレイクをティナ・ブルックスが無難にこなして白熱の大ブローに突入すれば、ジミー・スミスとアート・ブレイキーがグルになって、強引なアップテンポのビートで煽りまくり! 本音は恐いほどです。
そしてルー・ドナルドソンは、本気で熱いフレーズしか吹いていません。ここでもアート・ブレイキーのドラムスが地獄の煽りですからねぇ♪ 演奏はガンガンに突っこんでいきます。
もちろん続くエディ・マクファーデンも必至で追走するのですが……。苦しみながら繰り出してくる骨太フレーズが、実は凄いと思います。
しかしジミー・スミスは、そんな状況を楽しんでいるかのような激烈アドリブで、その場を圧倒します。う~ん、失礼ながらバカ丸出し寸前の突撃なんですねぇ。アート・ブレイキーとの鬩ぎあいも熾烈を極めてしまいます。
結果、観客も呆れの熱演というわけなのですが……。
05 Cool Blues
さて、ここからドラマーがデナルド・ベイリーに交代です。
その所為か、リズム隊にある種の落ち着きがあって、フロント陣も一安心なんでしょうか、余裕で楽しいハードバップを追求しています。もちろんこれは、アート・ブレイキーがダメなんじゃなくて、凄すぎた証でしょう。
で、ティナ・ブルックスもルー・ドナルドソンも、全くグルーヴィなアドリブに撤して、ジャズの快楽を提供しているのです。
もちろんリズム隊も、何時ものジミー・スミス・トリオに戻っていますから、コンビネーションにも安心感が漂います。終盤のジミー・スミスのアドリブからは、手馴れていながら緊張感のあるフレーズとノリが溢れ出て、もう最高!
ドナルド・ベイリーの底力のあるドラムスは、旧式の機関砲のようですねっ♪
06 What's New
お馴染みのスタンダード曲が、お洒落な黒っぽさで演奏されています。
テーマをじっくりと吹奏するのは、こうした雰囲気が得意なルー・ドナルドソンですから、なかなか気持ち良いんですねぇ~♪ もちろんジャズ魂に満ちたビバップの語法も忘れていません。随所にドライブ感満点のフレーズを織り込みつつ、基本はテーマメロディの変奏ですから、和みます。
またジミー・スミスは、ジワジワと熟成されたビートとフレーズでドヨドヨと呻きつつ、それでも歌心を大切にしたアドリブは流石だと思います。
07 Small's Minor
多分、店の名前にちなんだ曲なんでしょうが、これってジョン・コルトレーンの「Mr. P C」の元ネタじゃないでしょうか!? ちなみに作曲はジミー・スミスですが!
演奏はジミー・スミスのレギュラートリオによるアップテンポの展開で、全体的に少し縺れ気味なのが、残念……。
08 Once In A While
オーラスは再びルー・ドナルドソンをフロントに据えて、有名スタンダード曲が演奏されています。
あぁ、こういう時のルー・ドナルドソンは本当に良い味ですねぇ。後年、オルガンを自己のバンドの中核にしていたのも、充分に理解出来ます。肝心のアドリブも十八番のフレーズの大盤振る舞いで、熱く流麗に歌いまくりです。
そしてジミー・スミス以下、トリオが作り出す雰囲気の良さも最高で、お洒落で柔らかなグルーヴには、ほどよい黒さが秘められています。あぁ、これが当時の黒人クラブでは最先端の演奏だったんでしょうねぇ~。それはすなわち、一番ブッ飛んだカッコ良さなのでした。
ということで、熱さと共に荒っぽさもあるセッションなんですが、こういうイケイケの演奏は、ちょっと現代では無理だ……、と思わせられるアルバムです。もちろんジミー・スミスには、もっと凄い作品もありますし、それは参加メンバー全員にも当てはまることですが、モダンジャズ全盛期の一夜の記録として、かけがえの無い瞬間が素直に楽しめるはずです。
スピーカーの前で、あるいはヘッドホンで真剣に聴いて感動する1枚だと思うのですが……。ちょっと危険すぎるでしょうか。
ジャケ写からして、恐いですよね。