OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

早トチリして

2007-06-17 16:59:45 | Weblog

慌てる、泡を食う、焦るとロクなことが無いのは分かっているつもりですが……。

たまにはトンデモ無い思い込みからミスっても、結果オーライということもありますね――

George Gershwin And Ohters / Leonid Chizhik (Boheme Music)

ということで、ちょっとした勘違いから買ったCDが、これです。

それは1曲目に私的偏愛曲「Sunny」が入っているから!

で、帰宅してから聴いてみると「Swanny」でした、ガーシュインが作曲した!

うひぇ~、失敗したぁ~~~、と思ったら、これが意外にイケてたんですねぇ♪

この Leonid Chizhik というピアニストは、どうやらロシア系らしく、もちろん共演者も全て、そっちの人みたいです。

そしてこのアルバムには1975年と1977年の2つのセッションが収められていて、いずれもピアノトリオの演奏になっています――

☆1975年セッション
 メンバーは Leonid Chizhik(p)、Alexecy Kuznetsov(g)、Alexecy Isplatovsky(b) というドラムレスのトリオです。演目は――

01 Swanny
02 But Not For Me
03 Someone To Watch Over Me
04 Lady Be Good
05 Embraceable You
06 Clap Yo' Hands
07 Summertime

 アルバムタイトルどおり、全てがジョージ・ガーシュインの名曲ばかり! Leonid Chizhik のピアノは、多分クラシックの修練がたっぷりなんでしょう、とにかくテクニックは抜群で、歯切れ良く豪快なスタイルです。ちょうどアンドレ・プレヴィンのような感じなんですが、トリオの演奏は明らかにオスカー・ピータソンのギター入り時代のアレンジに範をとっています。
 そしてギターの Alexecy Kuznetsov が、物凄いテクニシャンなんですねぇ~! 所謂ウエスタンスイングのようでもあり、オクターブ奏法に加えて軽快なコード弾きも魅力です。あまり黒い感覚はありませんが、トリオのアレンジでは要というか、和みの源だと思います♪
 演目では「Summertime」が圧巻! 無伴奏でギターのアドリブ~テーマ変奏、そしてピアノの豪快無比なスイング感! ハードロックのようなベースも異常です。狂騒的なアップテンポですから、烈しいリズムギターは、いったい何だっ! ギターとベースの掛け合いは、なんとなく寺内タケシとブルージーンズのような……。そこにピアノが再び乱入すると、バンドはフリー地獄に突入です。そして最後はフュージョンのような雰囲気になっていくという、トンデモ演奏なんですねぇ。
 あと少し古臭い「Swanny」とか、思わせぶりが強い「Someone To Watch Over Me」での Leonid Chizhik のピアノは、なかなか本物のテクニシャンぶりで見事だと思います。
 またアレンジが楽しい「Lady Be Good」も良いですねぇ。正統派の実力を発揮するベースの Alexecy Isplatovsky の存在感も流石ですし、ギターの Alexecy Kuznetsov が、もう、どうにも止まらない感じです。
 それとボサロックにアレンジされた「Embraceable You」も、俗っぽくて素敵♪ しかしアドリブパートでは、かなり新主流派に近いスタイルが披露されるのでした。

☆1977年セッション
 メンバーはLeonid Chizhik(p)、Andery Egorov(b)、Vlodimir Zasedatelev(ds) という、こちらは真っ当なビアノトリオです――

08 Body And Soul
09 Green Dolphin Street
10 All The Things You Are

 演目はいずれもモダンジャズでは定番ですね。こういうのは嬉しくなりますが、演奏もなかなかガチンコの魅力に溢れています。
 「Body And Soul」はトリオ全体として、ビル・エバンスのトリオに範をとっているみたいですが、Leonid Chizhik のピアノが饒舌ですから、たまりません。ちょっと幻想的なイントロから、ゆったりとしたテーマの弾奏が、ややイヤミっぽいほどです。なんとなくジャズ独特のスイング感とかグループが不足気味……。そしてそれを逆手にとってディープな表現に耽溺してゆくという、???が圧巻です。
 つまり、良く分からないけれど、凄い! んじゃなかろうか?
 しかし「Green Dolphin Street」はサンバ系のアレンジですし、「All The Things You Are」はスイングしないガチガチの硬さが狙いどおりというような、意地悪い演奏になっています。
 もちろん全て意図的なんでしょうが、素直さが無いぶんだけ、妙なギミックが心に残るような、まあ???ですが……。

ということで、Leonid Chizhik という、とにかくバカテク派ピアニストを知っただけでも意味がありました。ジャズは世界の共通語と言った評論家の先生もいらっしゃいましたが、本当ですね。特に前半の8曲は、けっしてジャズだけではないフィーリングとテクニックを披露するギタリストが新鮮でした。

これで本当に「Sunny」を演奏してくれたらなぁ……。

コメント
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