北方領土は誰のものかと言うと、今はロシアのものでしょう。元島民に言わせれば、私らの島となるかも知れません。しかしその前はアイヌのものでした。日本人とアイヌは違います。明治の同化政策でアイヌは言葉を失い、文化も失いました。狩猟採集が禁止され、農業を強制されました。
その元凶となった「旧土人保護法」が撤廃されたのが、ついきのうの平成9年のことです。アイヌの長大な叙事詩(ユーカラ:今はユカラと言う)を後世に残そうと、ローマ字の筆記体を覚え、レコードに録音までした金成マツさんという人がいました。昭和22年のことです。
NHKのETV特集「今よみがえるアイヌの言霊~100枚のレコードに込められた思い~」を見ています。
アイヌ民族に北方領土は自分の土地という意識は無かったかも知れません。もともと神の土地を、狩猟採集して移動していたということが一つ。争いを好まない温和な民族だったこと。争い事は、節をつけた言葉を交互に主張することによって、第3者を付けて「談判」する。
安倍さんの発想は、もしかするとアイヌの流儀に似ていると言えるかも知れない。北方領土は誰のものでもない。神から与えられた土地。