棚からぼた餅--岩淵龍王丸

信州の山郷での暮らしと、絵本と無縁になってしまった大人に向けた創作絵本や、芸術活動をお話します。

悟浄出世

2013-01-25 09:35:30 | 山郷の暮し
昨日は気温も上がり、屋根からの雪解け水が賑やかでした。
ただ今、徐々に雪雲がちぎれだし、薄日が射しだし気温は高いのですが、予報では雪が降るとか・・。

昨日の続きでスクラップ・ノートを調べました。
中島敦著「悟浄出世」の短編で、あの西遊記のメンバーですがあまり目立たない存在の悟浄が、三蔵法師に出合う前の、「自分は何のために生まれ存在するか。この世はいかなるものか。マコトとは???・・・」
と苦悩する話です。
宗教的であり哲学的であり、私達の悩み事でもあることかもしれない。

どうして、どうしてと悩む悟浄を、仲間や知恵者たちは病気だとか、愚かしい悩みだと最後にはバカにされていた。悟浄は求道の旅に出る。
ようやく「この教えこそ」と感じた導師は、一見普通の人でむしろアホに見えた。
「賢者が他人について知るよりも、愚者が己について知るほうが多いもの故、自分の病は自分で治さなくてはならぬ」
「聖なる狂気を知るものは幸いじゃ。聖なる狂気を知らぬものは禍じゃ。・・・・
愛するとは、より高貴な理解の仕方。行うとは、より明確な思索の仕方であると知れ。
何事も意識の毒汁の中に浸さずにはいられぬ憐れな悟浄よ。・・・・」
「真理とは何か」と迷いに迷っている悟浄をさいごに救ったのは、ご存知「仏の道」でした・・・。
(スクラップノートにはこれだけ抜き書き)
それにしても中島敦(1909--1942)という作家は天才的だと思っています。
有名なのは「李陵」「山月記」で何度か読んでいましたが、この「悟浄出世」は数年前の一度だけだった。
この作品に続き「悟浄歎異」へとつずく物語です。


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