棚からぼた餅--岩淵龍王丸

信州の山郷での暮らしと、絵本と無縁になってしまった大人に向けた創作絵本や、芸術活動をお話します。

黒い雨

2016-08-06 09:36:26 | 山郷の暮し
昨日の午後一にオリンピックを見る気楽さでTVをONすれば、井伏鱒二原作・今村昌平監督の「黒い雨」だ。
原作はずーーと以前に読だことがあり、婚期を迎えた被爆女性を描いた淡々とした物語だった、としか思い出さない。
「あまり面白くは無さそうだ」とチャンネルを変えようと思ったが「これは観なくてはならない」と感じたのは始まって間もなくだ。

白黒の映像は、記録写真そのものの実相のごとくで、まさにゾットするような生き地獄だ。
私も「地獄図」は描くたびに、原爆写真は観てきたが、この映画は凄い。
現実はもっと、もっとすざましいものであろうが、その地獄が再びあってはならないと改めて感じた。

映画は被爆者が受ける社会の不理解と、いつ「ピカ病」が発症するのかという死の苦悩を
(なぜ広島に原爆が落とされたのか????)と腑に落ちない疑問のまま亡くなっていく。
それは原爆反対と強力に告発するのではなく、むしろ淡々と展開する。
それだけに叫び以上のメッセージを受ける。
評判は聞いていたが、この映画は大変な作品だ。

映画では、婚期を迎えた被爆女性を演じた故・田中好子さんの地味な演技が印象に残った。
この映画こそゴールデンタイムに放映してほしいと願います。

ryusun

つぶやき

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