棚からぼた餅--岩淵龍王丸

信州の山郷での暮らしと、絵本と無縁になってしまった大人に向けた創作絵本や、芸術活動をお話します。

26-棚からぼた餅-

2008-02-05 10:34:29 | Weblog
厄病神の難しい話に、いつも能天気な福の神でしたが
「厄病神さんが、この村の衆に感心することがあるってなんですか」

「それほどのことじゃーねーが、仲間の話によると、人間どもは自分たちを偉くみせるために、村の起こりや、先祖などを"神様からさずかった゛なんてとんでもねー罰あたりなことをいいだすらしい。
たわいもねー権力を手にしたやつほど、神様を語らうらしいが、まーー、そのことは俺たち神の世界も同じことだか・・
さっきも言ったが、この村の衆は、自分たちの貧しさを、戒めながら暮らしているって事かなー。オメーのことなどアテにしてねーもんな」

「確かに・・。
私なんかすっかり忘れてしまいましたが、少しは神通力を習ったんです。
でも、中央のお偉方なら、神通力も強いのでしょうが、私ら下っ端にはとてもとても、人間の願いなんぞかなえて上げられません。
人間たちの欲は際限がありませんからねー」

「そのとおりだ。それでオメーはいつも寝ているわけだ。
そのぶんオレが忙しいってことになるが、人間あってのオレタチともいえる。
人間は欲張りで少しずる賢こいが、それでいて間抜けていて、目が離せねーわけだ。
王神様はおっしゃっている。
このまま人間をほっておいたら、ほかの生き物たちも危ないことになってしまう。
いつも見張って、警告をしないと、飛んでもねーことになる。
一刻も早く気ずかせねーといけねんだ」

「厄病神さんの話によると、わたしら福の神は用無しってことになりますが・・」

「まーそんなことはねーけど。
ダメな子供ほどかわいいというか、お灸だけでは上手く事ははこばねー。
全体を丸く治めるには、オレとオメーが必要ってわけだ」

自信をなくした福の神に、やさしく語った厄病神でした。

写真は「不動明王」墨画 90-160cm

25--棚からぼた餅--村の起こり

2008-02-04 11:22:21 | Weblog
「ところで、この村がなんでこれほど、シケタ村か考えたことがあるか?」
突然の話の変化に、ついていけない福の神。
頭の中は"転勤・転勤゛の字がつまり、ほかのことなど考える余地もありません。

「村の衆は、誉れ高い平家の落人だといっているが、オレの先祖からの厄事計画書によれば、せいぜい武田軍に負けた残党だ。
オメーこの村で、正月に餅をつかねー事や、松飾を立てネーわけをしってるな」

計画書といわれドキッとした福の神。
「そそそそーですねー。戦続きで正月どころでなかった先祖を思って、餅をつかないとか。松飾は、やはり戦で、松林に隠れ助かった恩からだと・・。」

「そーよ。先祖を敬うってのは方便で、貧しさからきた人間の浅知恵かもなー」

「それにしても、つきたての餅はうまいですねー。
からし大根なんぞでいただくのが一番。久しくたべていませんねー」

「そうだなー。この村ジャー山奥に、隠し畑を切り開いてわいるが、年貢のたしにするのが精一杯。ひえ・粟・そば それじゃーもち米にとっかえられネーし。
山抜け(地すべり)がおきりゃーオレのせいにしゃがる」
厄病神はしんみりといいました。

       写真は「生命は満ち満ちている」170-85cm

国境線

2008-02-03 21:57:10 | Weblog
エジプトとパレスチナの国境線が爆破され、その後の事件がニースになっていますが、今夜のニュースでは、エジプトがイスラエルの要請で封鎖したという映像がありました。
そのこととは直接関係ないのですが、私は1970年代から世界各地の旅をしてきました。

竹でできた国境門・橋に描かれた白線・峠や川の国境。知らぬ間に過ぎてしまった国境。
銃口が向かい合った地帯。さまざまあった。
私たち日本人には、国境線の意識はほとんどあるまい。
私もソウであったが、国境を特に意識をし、その地に立って見たくなったのが、アメリカとメキシコの国境の町、ノガレスだ。
詳細は省くが、密入国でおきた悲劇の現場が見たく、東西に伸びる国境線を旅しました。

メキシコ側のフェンスには、現代アートも顔負けするゴミがみごとにへばりつき、アメリカ側はピカピカの車が並ぶ。
経済格差が歴然とした、それまでに見たこともない、底なしの悲哀をおぼえた。
奇妙な話だが、同じレベルの国が銃口を向かい合わせた国境のほうが、まだ解決できそうな可能性を感じた。

あえて危険地帯を旅することは愚かしいことですが、ラクチンばかりの旅行は・・・。

朝一から遊びまわって--

2008-02-03 14:52:56 | Weblog
軽い雪がたえまなく降っています。
気温が低いので、雪の結晶がきらめく。

雪かきに忙しいおとうさん。
おかげで、朝から走り回っています。
お腹がすけば、いつもかわいがってくれるお隣のおじさんが、美味しいものを

昨日、私のテリトリーの内にいる、若いオスがやってきた。
どうも、オトコとしての魅力がない。
去勢したとか。お呼びでありません。

早速、ダーリンのところへご挨拶。
彼も私もその気はまだありませんが
もう、春が近いことを感じる

夕方までには30cmは積もるかも
写真は私ンち(家)の一部です。


24-棚からぼた餅-多忙な神様

2008-02-03 10:25:11 | Weblog
「こねーだの出雲の寄り合いのことだが、
俺たち厄病神はものすごく忙しくて、担当不足で福の神を割り当てている地方もあるらしいぜ」
「エッ! そそそりゃーエライことだ。
わわわ私なんぞとても 厄病神さんのお仕事なぞできません。
祠なんかいりません!。だめな神さんでいいです。
私の名前がでたら絶対に反対してください。ワタシャーこの村がいーーー」
福の神は、厄病神にすがりつき、泣き出してしまいました。

「そんなことは オレがきめることじゃーねーけど、
オメーのことなんか とうに忘れられているかもなー。

なんで俺たちが忙しいかというと、人間どもがテメーたちの欲ばっかしこいて、山川野原を好き勝手にかえちまっている。
王神様は大層お怒りで、ヤメロー・ヤメローと言っているのに、ちっとも言うことをきこうとしねー。
その上、テメーたちで勝手に神様を語らって、あくどい事をしているらしい。

テメーたちがしでかした結果がうまくいかネーと、俺たちのセイにする。
自分の首を絞めていることに きずいていねーんだ。
王神は、このままでは 神の世界の存在 すらあぶなくなっていくと、お嘆きになっているのだ。
そんなエライ時に、計画書が燃えていまうなんて・・・。

厄病神はボヤキながらも、それ以上福の神を攻めることはしませんでした。

酷寒の演舞--田中民

2008-02-02 21:12:45 | Weblog
寒い。しばらく忘れていた真冬日が続く。
そんな酷寒の野外で、舞踏家・田中民氏の公演があった。

田中氏とは25年ほど前に、イベントでご一緒したことがあった。
その時の、強烈なエネルギーの発散に圧倒され
私は忘れがたい、人との出会いでした。

久しく、田中氏の舞踏を観る。

会場の芸術館の屋上は、下見と異なり
酷寒と雪があるのには戸惑ったようだが
黒色の衣装に付いた雪の白さが、
ペイントされていくような絵画的
美しさがあった。

やさしさが漂う演舞に
私は、宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」
がフット思いだしました。

23-棚からぼた餅--土地神

2008-02-02 09:49:33 | Weblog
ところでなー福の神
この貧乏村の土地神としては、オレとオメーしかいねンだが、
こおして一緒にいることは、本当はいけねーんだ。

「エッ! 私はあなた様が大好きで、ああ兄貴ともおもっているほどです」
福の神は本心から、そう思っていました。

「マーそおいうことでなく、オレとお前の役職は、裏と表。
炭団と雪だるま。こおいう事自体が--だんごう--ってことだ」

「だんご! ???」
すっとんきょな声に、一瞬ポカンとしてしまった厄病神でしたが、大笑い。
福の神も、頭かきかき照れ笑い。
そのうち、二人で笑いこげてしまったのです。

笑うかどには福きたる。
笑いは心身ともに快活にしてくれ、新しいアイデアも湧いてくるもの。

労働犬--さくら

2008-02-01 16:55:27 | Weblog
朝から陽射しがあり、散歩道はグチャグチャ。
下は凍っているので、スリップに注意

裏山から枯れ木を引っ張り出す。
一時間ほどの労働
面白いが、フリーに飛び回ったほうが、楽しい。

おいしい水が湧き出ている所で
大物の鹿のあしあとを見つけた。
たぶん、昨夜のものであろう。
働いたんだから、フリーにして!
「だーーめーーー」と、つれない返事

「薪がいっぱいできると、リッチなきぶんだ」
と、お父さん。
薪の山もいいけれど、ちゃんと貯金しているのかな

このごろ、食い物がまずくなっている。
安いかんずめだろう。

絵はシリーズ「月・太陽・精霊」F50

22-棚からぼた餅-

2008-02-01 11:22:06 | Weblog
厄病神は背中にすきま風がさすと、フット福の神を思い出しました。
「どうしようもねーヤツだが、祠がなくなってどーしているズラ。
まてまて、あいつのことなんかカマッテいられねーが・・。
エーもうしょうがねー」
と、立ちあがったのでございます。

「オイッ! 福の神! どこにいるんだ! デテコイ!!」
木枯らしなんぞ吹き飛ばしてしまいそうな大声に、
枯れ草の塊からはじき飛ばされたように、出てきた福の神。
「どどどどーしたんです。わわわわたしはなにもしていません。
助けてください」
それだけ言うと、空気の抜けた風船のようになってしまいました。

「腰ショぬかすこたーねーじゃねーか。
なにもとって食おうてーわけじゃねー。
枯れッパにくるまってるなんて、まるでねずみだ。
与太郎のボロ家だがここよりゃましだ。ついてこい!」
有無を言わせない、厄病神。

「ややや厄病神ドンと一緒にいられるなんて、こころずよい。
へーー本当にありがとうございます」
厄病神のあとを、丸々とした体で、チョコマカ踊るようについていった福の神でした。

狩猟ワナについて--サクラ

2008-01-31 17:19:46 | Weblog
雪解けも少し進み、硬く凍り付いていた散歩道も、所々グチャグチャだ。
日陰の雪は、薄氷が張ったようになり、ボソッと割れたり、乗れたりして面白い。
新たな獲物は感ぜず、帰宅する。

先ほど「やっと手があいたもので」と、水道工事屋のおじさんが来た。
今年の冷え込みは厳しく、水道管の凍結はれつ工事で大変だそうだ。
とくに、旅行などで留守にしたお宅が多いと言った。
昨年なんか、ふきの頭 をみつけていたのに。

口の周りがかゆく、毛が抜けてきた。
お父さんが、アルコールで消毒してくれるが、舐めてしまった。
やめろ、と言ったって、お父さんのように好きでなめているとは違います。

私が保健所騒ぎになった、そのひとつに、ワナにかかってしまったことにある。
サメの歯のようなやつトラバサミに、ガシャンと食われてしまう。
足が引きちぎれることはなく、関節にくいこんでしまう。
痛いというより、逃げ出せなかった。

もうひとつに、゜クビッチョといわれる、針金なんかで作ってある
首輪のようなもので、こいつはあぶない。
違反ワナらしいが、お父さんはこれに足をとられたという。

猟師さんの仕掛けたわなは、テープなどで記されているが、もとより人間たちのものだ。



ryusun

つぶやき

絵本と無縁になった大人に

子供たちに向けたというより、内なるものを呼び覚ます大人への絵本