徒然草

つれづれなるままに、日々の見聞など、あれこれと書き綴って・・・。

映画「甘い鞭」―絶望の果ての残酷な哀しみのエロス―

2013-11-10 23:30:00 | 映画


 露骨で凄惨な性と暴力の描写で、目を覆いたくなるシーンもある。
 強烈で衝撃的な映像で知られる石井隆監督が、大石圭の同名小説を映画化させた最新作だ。
 石井監督作品は、6月に「フィギュアなあなた」が公開されたばかりだ。

 何やらあやしいムードが漂い、予想通り、ハードな描写が女の究極の悲しみを映し出す官能のドラマである。
 新しいエロスの女王として、いま話題沸騰の壇蜜が大抜擢され、少女時代を演じる間宮夕貴とともに、体当たりの熱演だ。
 かつて大竹しのぶ、余貴美子、夏川結衣、杉本彩数々の名だたる女優の魅力を引出し飛躍させた、石井監督のリクエストに見事に応えている。
 被虐と加虐の血に彩られた女を描いており、倫理観や好みで評価の別れる作品であろう。







岬奈緒子
(壇蜜)は、不妊治療専門の医師として患者や周囲から信頼を得ていた。
その一方で、SMクラブの売れっ子として、恥辱にまみれる別の顔を持っていた。
実は奈緒子には、悍ましい過去があった。

高校時代の奈緒子(間宮夕貴)は、1ヵ月にもわたって近所に住む男に拉致監禁され弄ばれた。
奈緒子はその男を殺すことで、ようやくこの地獄から抜け出すことができたが、彼女の人生は崩壊した。
いまでも、この凄惨な事件は、彼女の最大のトラウマとなり、直子は決して笑うことはなかった・・・。

過去の事件が導く欲望の夜に、物語は、予想もつかない惨劇を招くのだ。
映画デビュー作「私の奴隷になりなさい」で、一躍有名になったヒロイン壇蜜は、全身からあふれるあやしいエロスを漂わせ、妖気と熱気が迫ってくる。
女の昼と夜の顔を映し出し、現在と過去を行き来しながら、濃密で妥協なき石井隆監督の演出は、映画界を震撼させるほどのリアリティを持つ。

ヒロインの壇蜜は、この作品「甘い鞭」撮影中のことを、ほとんど記憶がないと語っている。
それほどハードな撮影だったようだ。
もともと間宮夕貴と同じグラビアモデル出身の本人は、正直に演技は苦手だとまで言っているようで、彼女はマスコミのインタビューでも丁寧な言葉使いで、綺麗な文字を書き、しっかりした教養もにじませて、頭の回転の速さを感じさせる。
エロスで売り出した壇蜜、間宮夕貴ともども、二人の裸身の美しさと、凛然とした女の存在感が、ちょっとした社会現象にまでなってしまった。
サディスティックな欲望と、マゾヒスティックな願望の交錯する衝撃的なドラマは、やはり石井ワールドの真骨頂といえそうだ。
     [JULIENの評価・・・★★★☆☆](★五つが最高点


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2 コメント

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これはまた (茶柱)
2013-11-11 23:01:00
評価が分かれそうですね。
得てしてそう言う作品ほどいいと言われるようですが,さて・・・。
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評価が割れる・・・ (Julien)
2013-11-12 23:24:16
あるいは評価が分かれる、それも大きく二分されるというのも面白いと思うんです。
人には好き嫌いがつきものでしょうからね。

芸術の世界など、評価が、極端に一方に偏りすぎていたりするのも、それが果たして正しいかどうかとなると難しいものです。

政治の世界も、お互いの実力の拮抗した二大勢力って望ましいのですがね。
ときには世論を二分するような・・・。
独裁とか独走態勢というのはどうも・・・。
いや、これはとんだ余談で。
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