ハリウッドのトップスターたちが、出演を熱望したという作品だ。
全編に叩きつけられる、あくなきへヴィメタルのサウンドと過激きわまりない行動・・・。
強い衝撃とともに、一抹の感動をもたらす作品だ。
スペンサー・サッサー監督のアメリカ映画だ。
アカデミー賞主演女優賞受賞のナタリー・ポートマンが、自らプロデュースを兼ねて出演している。
既存の映画の殻を破った、常識はずれの凄まじさが売りのようだ。
ロサンゼルス郊外・・・。
13歳の少年TJ(デヴィン・ブロシュー)は、自動車事故で母を失い、心に大きな傷を負った。
父親のポール(レイン・ウィルソン)も、妻の死から立ち直れないでいた。
彼は、息子を連れて、年老いた母マデリン(パイパー・ローリー)が一人で暮らしていた実家に戻り、日々、ソファにもたれてテレビを見るだけの生活を送っていた。
一方、スーパーのレジ係として働く女性ニコール(ナタリー・ポートマン)も、TJ親子と同じく、孤独な人生を送っていた。
そんな彼らの前に、突然アナーキーで変わり者の男ヘッシャー(ジョセフ・ゴードン=レヴィット)が現れた。
TJの祖母の家に、勝手に住みついてしまった彼は、大音響でヘヴィメタルを流し、電柱に登ってケーブルTVを勝手に引き込んで、ポルノを見始めるような男である。
そして、我が物顔で食卓に座れば、見かけはTJ一家の一員だ。
やがて、言葉も行動もとにかく下品で乱暴なヘッシャーが、様々なトラブルを起こすが、その過激なバイタリティに影響され、暗く沈んでいた一家は、もう一度前を向いて、新たな人生を歩み始めることになる・・・。
少年TJが心を寄せるマドンナ、ニコール役のナタリー・ポーマンや、祖母マデリンの死という悲劇をめぐって、三者三様の想いがヘッシャーという男との奇妙な交流を醸し出して、奥行のある作品として見ることはできる。
まあ、少々どころではなく、かなり奇想天外なきらいがあるが・・・。
このアメリカ映画「メタルヘッド」、34歳のサッサー監督の長編映画デビュー作で、ヘッシャーのような常識にはまらない型破りな男を描いて、驚きと感心の異色作品だ。
見方によっては、不快な嫌悪感も覚悟した方がよろしいようで・・・。
ナタリー・ポートマンは、この作品では助演に徹していて、これまでの彼女とは一味違った、ダサい、しょぼくれたメガネ女で描かれ、人生に迷って途方に暮れた弱い女を演じて、案外これがはまっていて面白い。
この作品、全米の配給会社の間で、激しい争奪戦が繰り広げられたかなりホットな映画で、今年5月に全米公開に続いて、日本での緊急劇場公開が決まったいきさつがある。
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私はメガネのナタリーも良いなぁとか思いますが。
彼女は、イスラエル出身でアメリカ育ち、それでいて女優をしながら何と名門ハーバード大学心理学科卒業といいますから、大変な才媛ですね。
しかも、小学校からずっと、主席だったとは・・・!
凄い女優さんですねえ。はい。