12人で始めた会社を、700人の大企業へ。
学歴もコネもない男が、億万長者にまで成り上がり、放蕩の限りを尽くして、そして破滅する・・・。
かつてウォール街に実在した男の、欲にまみれた破天荒な生き様を描く。
マーティン・スコセッシ監督のアメリカ映画だ。
ウォール街を舞台に、実在の株式ブローカー、ジョーダン・ベルフォートが証券会社を設立し、華やかな成功をおさめるが、やがて挫折の時を迎えるまでの10年間を描いた、男の一代記だ。
欲望に取りつかれた人間の本性を、極限までむきだしにする。
痛快な興奮と破格の驚きに目を見張る、面白さ抜群の娯楽エンターテインメントだ。
学歴も金もないジョーダン・ベルフォート(レオナルド・ディカプリオ)は、22歳でウォール街に飛び込んだ。
ジョーダンは、カリスマヒーローのマーク・ハンナ(マシュー・マコノヒー)の酒と女とドラッグに溺れる姿に圧倒されるものの、株価の行方など誰にもわからないから、顧客から手数料を取り続けることに専念する。
そうして、ついに彼はトレーダーとしてデビューするが、その日がブラックマンデー(暗黒の月曜日)だった。
ひと月後会社が消えると、郊外でクズ株を売る仕事を得たジョーダンは、巧みな話術で頭角を現し、町の与太者たちを集めて証券会社を設立する。
ジョーダンのカリスマ性もあって、この会社は急成長し、株価操作で彼は巨万の富を得る。
豪邸を買い、自分を成功させてくれた妻テレサ(クリスティン・ミリオティ)と離婚、絶世の美女ナオミ(マーゴット・ロビー)と再婚し、フェラーリを乗り回し、ヘリつきクルーザーで豪遊、職場のパーティーには楽隊やストリッパーまで呼んでのドンチャン騒ぎ、放蕩と狂乱の日々はやまず、破滅へと突き進んでいく・・・。
貯金ゼロの男が年収49億!
90年代の破滅型のヒーローを描いて、興味は尽きない。
極め付きの悪党といわれる主人公を取り囲む、まともな証券マンなどひとりもいない。
全く不道徳この上ない、詐欺師のお話だ。
右肩上がりの幻想に酔いしれ、手っ取り早い金儲け話が、実にうまい具合にそこらに転がっていた時代だから、誰もが狂騒の中にいた。
ジョーダンは一匹狼(ウルフ)だ。
いまそんな人間はいない。
この時代だったから、それが馬鹿馬鹿しくもおかしい。
スコセッシ監督は、モラルの麻痺した人間の生態をとらえながら、バブルから暴落に至るサイクルを繰り返す、金融界そのものの栄光と凋落を明かしていく。
あくどく、切なく、狂騒に暮れる時代の、いわば風雲の幻想を描いている。
アメリカ映画「ウルフ・オブ・ウォールストリート」は、人間の欲望を膨らませた、痛快な男の物語を実話から作り上げた。
スコセッシ監督はとてつもないハイテンションで、これでもかこれでもかとストーリーを押しまくり、観客は催眠術にでもかかったみたいに引き込まれていくから、スクリーンにくぎ付けになったままで、3時間という時間も光陰矢のごとしなのだ。
冗談(ジョーダン?)はともかく、人間一生に一度はこんな人生を夢見るのではなかろうか。
ディカプリオがとことんハジケて、圧倒的なエネルギーで俳優としての限界に挑戦している。
人間臭く、欲望まっしぐらなカリスマ性、こんな男がかつて実在していたとは・・・!
仰天と興奮のエンターテインメントとして楽しめる。
彼自身「集大成」と位置づけたこの作品を機に、俳優業を一時休業すると宣言したが、さて・・・。
[JULIENの評価・・・★★★★☆](★五つが最高点)
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ここは金融業の一匹狼の話ですけど、まあこんな話が本当にあったのですから、何をかいわんやです。
一攫千金は怖いものです。
何かが狂って、それは当たり前でしょう。
金貸しだったらまだたちが良いような人が・・・。