“昨今のウォール街の話題は北東部の大雪、トレダーの机上のTVのオリンピックのニュース、議会での政治と景気の議論のこう着などだ。出来高は低調、市場は無気力だ。シカゴ・オプション取引所のVIX(恐怖)指数は金曜日に20を割れた。今年、13回目だ。今週、金曜日の雇用統計の数字が、これらのドラマの展開の突破口を見つけるか?”
(米バロンズ誌・3月1日)。
世界の株価の縮図であるウォール街の無気力と方向感の欠如を巧みに表現している。東京市場の現在の相場の解説でもある。
そんななかで今週はウォール街で医薬品株とAIGのアジア部門のM&Aのニュースが流れ個別の株価を動かした。
本日の早朝(日本時間)のニュースではヘッジファンドのエリオット・アソシエィツがノベル(NOVL)にTOBを発表した。株価は引け後の取引で30%急騰した。先のITブーム時の人気株である。
ノベルのことで思い出すのは、米バロンズ誌の新年座談会でハイテク専門のニュースレターのフレッド・ヒッキーが「クラウド関連の注目株。ネットワークのセキュリティと認証分野で成長が期待できる。リナックス分野でも優位。TOB候補の銘柄でもある」と推奨したことだ。
「トリトンスクエア通信」でも座談会の内容は3回にわたって注目した。
この種の座談会が日本とは異なって実践家で第一線の投資家が出席するという,内容の質度の高いものであることだ。彼は、ほかにマイクロソフトや金鉱株をすすめていた。
今週にはいってからM&Aの大型案件が出始めたことは相場の先行きを読む上では、大きな注目点である。
資金が株式市場に流入を始めた。また一部の待機資金が株式投信に向かい始めたと報じられている。
冒頭のバロンズ誌の記事とはうらはらに、相場の底流には変化がみてとれる。