NY株が世界の株価をけん引してきたが、大底を打ってちょうど1年がたった。
しかし1周年記念日も静かな1日であった。この1年間の株価の戻りは1929年に経験した大恐慌以来の上げであった。
さまざまな好調な指標が並ぶのに、市場が静かなのは、今回の戻り相場では個人投資家が完全に取り残されたからである。
依然として株式投信からは資金の流出が続き、低金利の債券ファンドにお金が滞留している。
ケネス・フィシャーという資産家(3兆円超の資金を運用)は「上昇相場が2年目にはいったのに、投資家は不安の壁を登っている様だ。高所恐怖症から抜け出していない」と語る。
また最近、ウォール街で人気を集めているストラティジスト(ウェルズ・キャピタル・マネジメント・運用資産30兆円)は「しばらくはS&P500の1,150近辺で動きが続くかもしれない。なにかの材料を相場は待っている」と語る(昨日のS&P500は1,140)。
個々の銘柄ではシスコ・システムズは通信速度が現在の12倍のルーターの開発を発表し株価が上昇した。「議会が保有する全文書でも1分間でダウンロードができるし、中国ですべての人が、同時に動画を交信しても4秒で実現」と、その性能を説明している。インターネットの技術革新のスピードが加速されている。ITバブル時には時価総額が50兆円を超え、1兆ドルも夢ではないといわれた株だ。その人気の復活が始まった。
昨日のナスダック指数は1年半ぶりの高値で、リーマンショック以前の水準に復帰した。