先週の本欄で「NYダウ平均が昨年10月の高値から‐19%になりベアーマーケットいりの瀬戸際にある」と書いた。
現在、本稿を書いているときのGLOBEXでのNY市場の先物はプラスであるが、今夜はプラスで引けたとしても「瀬戸際論」には変わりはない。
それでは仮に向こう数日のうちに‐20%超になったらどうか。
これまでの下げ相場が大勢観からして下落局面にあったことが確認される。昨年来の金融市場の不安と、石油相場の上昇が、相場に打撃を与え、景気にも影響することを株価が暗示する。
最近のベアーマーケットは2000年をピークとした下落相場であった。2000年春から2002年秋まで続いた。その間、同時テロ事件、エンロン問題などの材料が出て相場の調整を長引かせた。
今回は金融市場のリスクが発端であるが、バーナンキ議長の積極的な対策で時間のずれはあるにしても、終わりはそう長い先ではない。
問題は石油である。この問題だけは複雑で、ひとつの答えを出すのは難しいし、われわれよりも数百倍もの情報をもつ人たちがそれぞれの相場観をもつ。
ただ仮にNYダウ平均が‐20%以上の下落になっても、投資家のなかからは、今度は「ベアーマーケットはいつ終わるか」のほうに関心を持つ向きも出てくる。
先のITバブルのときはナスダック指数が80%も下落したが、そのような下落相場が今回はない。
すでに弱気相場の渦中にある金融株は50%も下落している。
「ベアーマーケットいり=さらなる大幅下落」ではないことを頭には入れていただきたい。