昨日の本欄では当面の戦略として「相場の方向性」をみるよりも「個々の銘柄の分析」に力点をおくことを書いた。9月末の株式分割権利取りと配当取りである。
その候補のひとつとして、かねて「トリトンスクエア通信」で注目いてきた金属チタン株の住友チタニウム(5726)と東邦チタニウム(5727)をとりあげた。
世界的に金属チタンに対する需要の強さは続く。エネルギーやほかの非鉄とは基本的に相場のトレンドは異なる。金属チタンは市場の相場で価格が決まるのではなく、メーカーと大手需要家の長期的な契約によって値決めが行われる。現在の需要の最大手は航空機と石油化学プラントだ。このところ毎年+20%のペースが続いているが、2007年もこの数字を下回ることはないだろう。市場の需給からすると金相場や原油のような上昇率をしてもよいはずだが、メーカー側もほどほどのところで値決めしている。
住友チタニウムは今年4月に年2万4000トン体制にした。その後の増設計画は検討中で未発表。東邦チタニウムは2011年には年2万2000トンにする計画を進めている。2007年3月には差し当たり1万6000トンにする。そのほか同社の得意とするのはリサイクリングで2008年3月にはチタンインゴットを1万9000トンにする。
住友チタニウムは9月末に1対2の株式分割をする。東邦チタニウムは先に売り出しの払い込みが終わり470万株の株券が市場に出る。同社の発行株式数の7.7%に当たる。今の市場環境からすると1週間ぐらいで相場は売り物を吸収するだろう。
はじめに書いた投資戦略にのる銘柄である。