足立 真一のTriton Blog

株式投資の実践、グローバルな視点での投資戦略。
銘柄選択は、成長株、中・小型株、新興市場株にバイアスを置く。

ドバイ・ショックは限定的

2009-11-27 07:40:27 | 株式

ドバイ・ショックがヨーロッパに走った。アラビア湾岸の小さな国の不動産、港湾関連企業のドバイワールドの資金繰りの行き詰まりだ。期限が12月末にくる35億ドルの債券とシンジケート・ローンの返済の延期を求めたからだ。

ドバイは湾岸諸国でも産油国ではない。古くからの商業の中心地として栄え、アラビア半島の物資の集積地であった。最近は金融サービスと観光で注目を集めていた。日本でもドバイ株への投資が一時は話題になった。

1990年末に当地を訪ねた。1970年代の香港の雰囲気を感じたが、魅力は感じなかった。

金融面で関係を深めてきたのはヨーロッパの銀行でバークレーズ、ドイツ銀行、ロイヤル・バンク・オブ・スコットランド、BNPパリバ、ING、スタンダード・チャータード,HSBCなどが関係している。米国の銀行ではバンク・オブ・アメリカ、JPモルガンである。このために、昨日の海外では銀行株が78%も下落した。

日本への影響は円高が進んだこと。米ドルが対ユーロでは買われた。

今回の問題を過剰流動性が生んだ弊害としてエマージング市場への警戒を論じる向きもあるが、まったく次元の異なる話である。

同じ新興諸国でも中国、インド、ブラジルは豊かな人的資源を抱えて近代国家への発展の途上にある。ドバイでは、たまたま中東に集まった流動性が投機に走った結果の行き詰まりである。

人口はアラブ首長国連邦では120万人とアブダビの140万人に次ぐが、石油資源の豊かなアブダビなどとはまったく異なる。金融市場への影響は限定的だ。