週末の急騰のきっかけはショート(空売り)をしている向きの買いが暴騰のきっかけになった。ショートのポジションを閉じるより、先物を買って損失を限定する投機家が多かった。この種の動きが相場の上げ足を速める結果となり、上昇相場には「買いが買いを呼ぶ」というスパイラル現象が出た。
急騰のきっかけはあった。5月の雇用統計で失業率が5.5%と2年ぶりの高水準になった。1988年以来であるが、当時は1987年10月の株価暴落の翌月だ。現在と同じように市場では景気、株価の先行きに不安感が強かった。
これまでは毎月の雇用統計には注目しても、失業率にはあまり関心を払わなかったのに、今回は注目した。それがドル安を招き、インフレ懸念に直結した。商品市場のセンチメントは神経質になっている。
ナイジェリアでの政情不安、イスラエルによるイラン核施設の攻撃の可能性などの材料がいわれたが、これは金曜日に限った材料ではない。
われわれの関心事は週明けの東京市場である。
週末、青森で開かれた主要消費国の担当大臣は増産を要望する声明を出した。
産油国は十分の供給をしているとしているが、「2005年以来、世界の石油生産量は日糧8500万バーレルで横ばいである。
この間、中国、インドなど新興諸国の需要は急増している。
さて株式市場であるが、外人買いも加わって日経平均は1万4500円近くまで上がっていた。週明けはNYダウ平均の-3.13%という下げ率並には、東京市場も一時は反応するだろう。
しかし3月を基点にした上昇相場が挫折することはない。
原油相場には米国の政策当局が過当投機をめぐって調査をしている。
当面の戦略はこれまで狙っていた銘柄の押し目を下落局面で拾うことを考えたい。