ヘッジファンドのバートン・ビッグス(トラクシス・パートナーズ)が一転して強気になった。
6月下旬に強気になり、7月初めには弱気転換と、そのめまぐるしい戦略の変化に彼のフアンは唖然としたが、昨日は再び“先行きのリスクは消えた。ここ10日間の世界の景気指標は前向きなものが増えた。私の相場観は慎重から強気に転換し、先行きに確信をもった”と強気宣言をした。
これまで35%に落としていた株式の比率を75%と倍以上にした。
普通なら、その行動に世間はそっぽを向くところであるが、再三の君子豹変にも、さすがにこれまで実績のある投資家だけに、「変わり身の早さ」にはむしろ注目が集まる。
彼の2009年の運用成果は+38%と市場平均の3倍であった。
彼の強気宣言は先週のバーナンキ連銀議長の“異常な不確実性”ということば、日曜日のガイトナー財務長官の“ダブルデイップにはならない”という発言の流れに沿うものだ。
それにしてもヘッジファンドという変わり身の早さが身上のヘッジファンド運用者だけにバートン・ビッグスの運用のすばしこさには、教えられるところが多い。
最近のデータでは投信、年金、基金の7月の株式の買い越し額は昨年3月以来の最高になり、一方、個人投資家の弱気センチメントはここ1年では最高水準になった。
市場の流れはビッグスの変身を納得させる。
昨日のシカゴオプション取引所のVIX(恐怖)指数は22.73と5月初め以来の低水準になった。
プロの弱気筋の後退である。