オバマ政権の景気回復への最後の切り札である4470億ドルの景気対策もウォール街のセンチメントを変えることができなかった。
市場の関心事は再びユーロ圏の危機と米国の政治への不安感に向かう。NYダウ平均は10,992ドルと8月22日の10,845ドルの安値にあと一歩まで下落した。VIX(恐怖)指数も38.52と8月の中旬の43.05に接近した。
今回の景気対策が2012年の米GDPを+2.0%引き上げるとウォール街のエコノミストの見方が一致している。それにもかかわらず世界の株価が下落するのは先行きへの自信の喪失である。
どのような政策を出しても不透明感は払拭されず、投資家の安心感を引き付けることができない。
そのようななかで日本にとって唯一の救いはドル相場の堅調である。
ユーロ安の裏返しでドル相場が8月から反転し始めたが、そのトレンドは9月にはいっても継続している。
昨日のNY市場での円相場は76.64円と堅調であった。
ここへきての相場のよりどころは20~21日の米連銀のFOMCでどのような奇策が出るか?
いまのところ短期債を売って(短期金利は上昇)、長期債を買う(長期金利は下落)するというツイスト・オペレーションが一つの選択肢である。それもここえきてサプライズはなくなってきた。そのあたりの事情についてバーナンキ議長は十分に承知である。昨年8月のQE2のような市場のセンチメントを変えるような政策が期待される。
問題は来週の1週間の政策の空白を相場はどのように消化するかにある。
そのようななかで東京市場の方には下値への不安感は薄らいでいるのはひとつの救いである。