湘南発、六畳一間の自転車生活

自転車とともにある小さな日常

きつい上りに喘いでいた去年の9月

2006年09月18日 | 自転車生活
去年9月の自転車の記録を見てみると、ひどく上りに苦しめられていたことを思い出す。去年の9月、僕は2度ヤビツへ出かけ、それから珍しく新幹線に乗ってMTBで蔵王に出かけている。そのどれもがひどくきつかったのをよく覚えている。

2005年9月1日のヤビツは、フレームをキャノンデールからLEMONDに交換して最初のアタックだった。乗り換えたLEMONDのフレームはキャノンデールほどの軽さは感じられなかったけれど、とくにフラットでの走りはまるで魔法の絨毯に乗っているかのように滑らかで、硬いアルミフレームの乗り心地に辟易しはじめていた僕をとても喜ばせてくれた。重量についてもひどく重く感じたわけではなかったので、これでヤビツを上ったらどんなタイムで走れるのだろうかとかなり期待してこの日僕はヤビツへ向かった。

しかし僕の期待は無残にも打ち砕かれた。何がどう、どこがどう辛かったのかは忘れてしまったのだけれども、とにかくただただ辛かったことだけはよく覚えている。タイムも51分38秒と1年以上振りに50分を越えてしまった。これにはほんとうに落胆した。キャノンデールからLEMONDに乗り換えたのはごつごつのアルミフレームではツーリングには向かないと感じたからだけれども、それにしたってこんなに上りに影響が出るのであればLEMONDの購入は失敗だったのでは?とかなりがっくりしてしまった。決して安い買い物ではなかったのに・・・と悲しい気持ちになってしまった。

いま思えばこのときはフレームを交換して最初のヤビツということで、ポジションもまったく出ていない状態だったのだと思う。また特性の違うフレームにたいしてまだ慣れていなかったということも大きかったのだと思う。多分走り終えたときもこのことは頭ではわかっていたとは思うけれども、そのときはやはり悲しい気持ちのほうが大きかった。

この月2度目のヤビツは9月21日に走っている。記録によるとスプロケットを12-23から13-25のものに交換し、サドルを少し高めにセッティングしたようだ。しかしこのときもタイムは49分03秒と期待していたようなものではなかった。この2回目のヤビツで、あぁこのフレームは上りにはあまり向かないんだと投げやりな気持ちになったことを少し覚えている。



結局この2回のヤビツのあと、写真の組み上げた当時の状態からステムを10mm短いものに交換し、ハンドルもあまりアナトミックな形状の強くないものに交換した。そして走った10月28日のLEMOND3回目のヤビツで43分55秒という当時のベストタイムを出すことができてやっとホッとすることができたのだけれども、この年の9月のヤビツはほんとうに肉体的にも精神的にもきつかった。



蔵王のほうは久し振り(10年以上振り)に東北を走りたくてほとんど衝動的に出かけた。全線舗装路のツーリングだったにもかかわらずMTBで出かけたのは、当時はランドナーにはまったく乗っていなくて状態に不安があったことと、レーサーのほうはフロントトリプルでもギア比的に上りきる自信がなかったから。しかし仙台から標高1600m超の刈田峠までの約70kmの道のりはちょっと想像を越えたきつさだった。



こんな標高差のツーリングは久し振りだったから仕方なかったのだけれども、とにかく峠が遠かった。上っても上っても峠につかない。



風景的に峠に近づいているという感覚があるにもかかわらず、峠に着かないのでほんとうに精神的にこたえた。そしてようやく峠に着いて蔵王山を登りはじめたら天候が急激に変わり、雨が降り始める始末。仕方なくお釜までで引き返し、あとはずぶ濡れ状態で山形まで下った。なんというか、とってもつらいツーリングだった。

こんなふうに1年前を振り返ってみると、どうしてこんなきつい思いをしているにもかかわらず、いまでもヤビツを上り続け、蔵王のツーリングを越えるようなきつい上りを走ったりするのか少し不思議な気持ちになる。普通だったら好んでこんな苦しいことばかりしたいなんて思わないはずなのに。ただ、そこで味わったきつさというのが不思議と心に残るのも事実なのだと思う。決して嫌な思い出としてではなく。そして時間がたつとそこで味わったきつさともっとうまく対峙したいというような気持ちが、ふつふつと静かに生まれてくるのも事実なのである。自転車の楽しみはもちろんそれだけではないのだけれども、そんな気持ちがあるから僕は繰り返しヤビツに出かけ、また峠越えツーリングへ出かけたりするのだろう。直江津ランのあとにまたロングライドを走ってみたい気持ちが生まれたのも結局のところそういうことなのだろうと思う。

ちなみにこの年の9月ですが、こんなきついことばかりではなく、友人と境川サイクリングロードを走ったり、ちゃんと関内のラーメン二郎にも出かけたりもしているようでちょっと安心しました。のんびりポタも峠越えツーリングもロングライドもオールラウンドに楽しめるサイクリストでありたいと思う今日この頃であります。