湘南発、六畳一間の自転車生活

自転車とともにある小さな日常

市川“こんなこと言っちゃ怒られちゃうけど”雅敏

2006年05月17日 | 自転車生活
今朝起きて天気予報をチェックしたら、今日の夕方から土曜日までずっと雨マークが並んでいた。明日なんかにしても昨日の時点では確か晴れマークがあったはずなのに、終日雨に変わっている。これはひどい。これじゃ自転車に乗れない。ということで、仕事前に黄色い自転車で湘南平を往復することした。


ちょっとだけサイクリングロードに寄り道。

ところで昨夜のジロの解説は、ヨーロッパの自転車レースでもっとも実績を残した市川雅敏さんだった。市川さんは番組のご意見番と称されるだけあって、何事にもかなりはっきりとした物言いをする。僕はそういう市川さんの歯に衣着せぬ解説が結構好きなのだけれども、ときには「市川さん、そんなこと言っちゃって大丈夫?」とハラハラしたりもする。そんな市川さんの昨日の解説は、結構舌好調だったような気がする。

たとえば現在開催中のツアー・オブ・ジャパンについて「日本を代表するステージレースがはじまりましたが」と白戸太郎に振られると、「う~ん、僕的にはどうなのかな、あれがステージレースって言うのかなって感じですかね。ゾンビっていうか、ひとつのステージでタイムアウトになったような選手が次のステージも走れちゃうわけだから、ヨーロッパから来た選手は何なんだって思うんじゃないですかね?」と主催者が聞いたら(実際聞いてるはずだ)表情を失ってしまうようなことを言ってしまう。

それからヨーロッパの選手のライディングポジションについて白戸太郎から言及されたときも、「あれは手足の長いヨーロッパの選手だからああいうポジションになるわけであって、我々だったらあんなポジションは無理があるわけですよ。それをステムの位置を無理して下げて、手足を突っ張って荒川の河川敷とか走っている人がいますけどああいうのを見ると、どうなのかなぁ~って思っちゃいますよね」と市川さんらしい手厳しい意見。

市川さんの意見はそれだけでは終わらない。「で、そういう人の走り方を見ると、我々(市川さんたち)がインナーでくるくる走っているようなところを、同じようなスピードでアウターで踏んで走っているわけですよ。あれじゃ、足に負担がかかるだけだし、楽しくないんじゃないかなってちょっと思っちゃいますよね。だって車だってそうですよね。そんなにスピードを出せないんだったら、5速で2000回転で走るより3速で3500から4000回転で走ったほうが全然楽しいし負担も少ないじゃないですか」というようなことをおっしゃる。そして終いには「まぁそういう人はロードレーサーというより、ロードバイクに乗ってるわけだからいいんでしょうけどね」などとかな~り辛辣なことまでおっしゃったりする。

市川さんは「いや、こんなこと言っちゃ怒られちゃうかもしれないけど」と笑いながら、こうした実際怒られちゃいそうなことを次々に(というと少しおおげさだけど)話していく。でも聞いているほうとしては、市川さんのそうしたことばを別に不快に感じたりはしない。それが市川さんのキャラだし、奇譚のないそうした解説というのもそれはそれで貴重だと思うからだ。それに何て言ったって市川さんはヨーロッパで下積みから這い上がって実績を残した唯一の日本人レーサーなのだ。だからそうしたことばの一つ一つにはそれなりの説得力がある。

さて、湘南平だけれども、そうした市川さんの解説を聞いた翌日だと走りもついついケイデンス重視の走りになってしまう。僕はいつもそんなに踏むタイプではないのだけれども、それでもやはり市川さんに「あ~あ、何やってんだか」とは言われたくはないので。で、向かった湘南平だけど、今日はかなり頑張って走りました。頂上の公園についたときは、もういっぱいいっぱいだった。でもタイムはコンビニから8分50秒で前回よりも20秒くらい短縮されただけだった。なかなかタイムを縮めるのは大変なのだなと思った。



展望台からけぶった海を眺める。

帰りもケイデンス重視で海岸線を走っていたのだけれども、途中で別のレーサーを抜いてから加速。そこからは残り3kmくらいの距離だったこともあって、ゼェーゼェー言いながら40kmくらいの巡航で走った。無茶苦茶疲れた。いったい俺は仕事前に何をやっているのだ、と思わないでもなかった。多分先日ぶっちぎられたようなことをしてみたかったのだと思う。相変わらず小さい奴だ、僕は。

ところで、また市川さんに話が戻るのだけど、ずいぶんと前にやはり白戸太郎が、「市川さんはヨーロッパで競技生活を送っているときに文化の違いに悩まされたりしたことはなかったんですか?日本人は向うの人ほどはっきりと自分の意見がいえなかったりするじゃないですか?」というような質問をしたことがあった。そのとき市川さんは「自分の場合はそれは大丈夫でしたね。自分は下町育ちっていうか、小さいときから白か黒かはっきりしない奴は、“こんなこと言っちゃ怒られちゃいますけど”女の何とかって言って育てられましたんでね」とおっしゃっていた。そのとき僕はそれを聞いて、妙に深く納得したのだった。

走行距離 38.63km
走行時間 1時間27分42秒
平均時速 26.4km