厚木飛行場を巡る裁判で東京高等裁判所は住民側に勝訴の判決を下した。確かに騒音は激しいと思う。近隣住民は苦しいかもしれない。でも、ちょっと待ってほしい。厚木飛行場、正式には厚木海軍飛行場というらしいが、この飛行場は昭和17年に完成している。勿論、日本の旧海軍飛行場としてである。この飛行場が有名になったのは、連合国最高司令官マッカーサーがここに降り立ったからだ。
ここに飛行場があることで、戦時中はこの周辺地域にはB29爆撃機が飛来し、爆撃をしたという。このような飛行場だが、建設当時から終戦の昭和20年までは周辺地域には殆ど家などは建っていなかった。殆どが畠などであったという。その後、経済成長により、この地域も住宅が多く建つようになり、現在では住宅地となってしまった。以上のような経緯なのだが、飛行場が先にあって住宅が後から建った、という事でも損害賠償でのお金が貰えるのだろうか。
小生にはとても不可解なのだ。飛行場があれば、多少の騒音はあるだろう、という事は事前に分かっていたはずだ。そこに新たに住宅を建てて、騒音でうるさいから補償金を支払え、というのは何かおかしい気がしてならない。例えば、国道や鉄道に接している住宅の場合、国道や鉄道の騒音が激しいから騒音に対する補償金が支払われるだろうか。飛行場だけが何故例外の扱いを受けられるのか。
今回の飛行場の騒音問題は、飛行場が先にできているのに、そこに後から移り住んできた人に対しても補償金が支払われるとなったら、わざわざ騒音がある場所に引っ越して騒音補償金をせしめることも可能ではないか。これは極端な例かもしれないが、騒音以外にもいくつかの事例がある。その一つが、企業が先に大きな空地の真ん中に工場などを立てて後から周辺が住宅地になった場合、同じようなことが実際に起きている。これは後出しじゃんけんのようなものだ。
日本は狭い国土を有効に活用しなければならない。騒音、振動、臭い、など様々なものに対して法律が出来ている。後出しじゃんけんのようなことが可能なら日本は住み難い国になってしまう。裁判官は何を見て判断したのだろうか。理解に苦しむ。