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カクレマショウ

やっぴBLOG

フィランソピー。米国と日本と。

2006-06-22 | └社会教育
米マイクロソフト社のビル・ゲイツ会長。先日、2年後に引退して慈善活動に専念すると発表しました。

彼は、奥さんと共同で慈善団体「ビル・アンド・メリンダ・ゲイツ基金」を運営しています。2年後に彼が活動の舞台とするこの基金の規模は、なんと290億ドル(3兆円!)にのぼるそうです。これまでも既にエイズ対策や貧困解消に1兆円を超える寄付をしているそうですが、このあたりのスケールの大きさは、日本人はとてもじゃないけどかないませんね。いや、そのケタはずれの金額だけを言っているのではなく、企業の社会への関わりという点において、日本と米国とでは根本的に考え方が違うんだなと思います。

米国は移民によって作られた国です。自分の住む家はもちろん、学校や病院、消防、図書館といった公共施設もみんな自分たちでゼロから作っていかなければなりませんでした。「公」とは行政が黙っていても作ってくれるものではなく、文字通り自分たち自身で作るから「public」だったのです。米国は、社会的なミッションを実現するためのNPOによって作られた国といってもいいでしょう。もちろん経済活動は自由な競争をモットーとする資本主義によって支えられてきたので、金持ち(経済的な成功者)とそうでない人の収入面の格差も、とてつもなく大きい。

米国社会の最大の特徴は、成功した人が稼いだお金を社会のために使うのが当たり前、という価値観があることだと思います。ゲイツ氏も、かつてwindows95を出した頃にビジネスが忙しくて慈善活動をしなかった際、そのことを手厳しく非難されたことがあるそうです。

19世紀から20世紀初頭にかけて「鉄鋼王」と呼ばれたカーネギーや「石油王」ロックフェラーも、一生かけても使い切れない資産を、惜しげもなく社会貢献のために投資しています。ロックフェラーは、特に医学研究の分野に貢献しています。野口英世が米国で研究したのもロックフェラー医学研究所でした。

カーネギーは、自身が苦労して築き上げた鉄鋼会社を売却して得た資産をほとんどすべて社会貢献活動に費やしました。子どもの頃に教育らしい教育を受けていなかった彼は、特に教育・文化の分野で貢献しています。たとえば、図書館建設。「図書」を寄付したのではなく、「図書館」そのものを寄付しているのです。その数全米でなんと2,000ヶ所以上。彼の遺言は、「子孫に財産を残すほどおろかなことはない」でした。そのとおり、彼の死後、残された金庫はからっぽだったそうです。

こうした企業の社会貢献活動をフィランソロピーと呼びますが、日本の企業ももちろんそういう活動を行っています。行ってはいるのですが、なんだかちょっと違うかも…と思うこともあります。要するに「意識」の問題なのかもしれません。例えば、自分たちを育ててくれた社会への「当然の恩返し」として行われる社会貢献活動と、企業イメージをアップさせるために「仕方なく」行われる社会貢献活動とでは、たとえ金額的に同等だとしても、その意味合いは全く異なってきます。

ゲイツ氏が、2年後にどんな社会貢献をしてくれるのかがとても楽しみです。同時に、最近の村上世彰氏やホリエモンの話を聞いていると、つくづく、彼我の違いを鮮明に突きつけられるような気がしています。

 

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