カクレマショウ

やっぴBLOG

病が悪化する地球と私たちの「安全安心」

2007-01-31 | ■社会/政治
今日は朝から雨でした。1月下旬に青森で雨が降るなんて! 昨年の今頃は、積雪120cmを超えていたのに、今日の青森市の積雪はわずか20cm。真冬日(1日の最高気温が0℃以下の日)も、昨年同時期には21日だったのに、今年はまだ2日しかないのだそうです。こんなに過ごしやすい冬は初めてかもしれません。毎日の恒例行事である雪片づけをしなくてもいいとか、暖房代がかからないとか、楽といえばもちろん楽。しかし、これも地球温暖化現象の一つなのだと考えると、喜んでばかりもいられない。

東奥日報の新春企画で、英国の地球生理学者ジェームズ・ラブロック氏が三村青森県知事と対談をしているのですが、その中でラブロック氏は、もはや「温暖化」というより「グローバルヒーティング(暑熱化)」なんだと言っています。それほど地球は危険な状態にあるのだということなのでしょう。

彼は、「ガイア理論」つまり、地球を一つの生命体としてとらえる地球システム論を唱えた人です。火星や金星など、他の「無機質」な惑星と違い、地球は自らが生き続けようとする生命力を持つ天体であると彼は位置づけます。人間に、生命体自らが持つ「治癒力」や「自然回復力」があるのと同じように、地球もまた温度や組成を快適な状態になるように調節している。地球の「温暖化」は人間で言えば発熱にあたるわけですが、「暑熱化」となるともはや「自然回復力」が効かない状態だということでしょうか。

その地球の「病」の原因を生み出しているのが人間であることは言うまでもありません。特に、石油や石炭といった化石燃料の燃焼によりエネルギーを取り出す方法に頼ってきたことが、温暖化の大きな原因とされています。氏は、太陽を一つの核融合炉とし、太陽系そのものを核反応による生成物ととらえています。したがって、人間が行ってきた化石燃料の燃焼によるエネルギーの獲得は、「宇宙の常識からみれば、不自然」だということになる。原子力に対しては、安全性が問題視されているが、今、私たちは「これから直面するであろう急激な温暖化という最大の危険」つまり「原子力の安心論議がかすんでしまうくらいの大きな危険」についてよく考える必要があると警告します。

同時に、私たちは「ガイアのなすがままの状態にしておく土地」をできるだけ多く残しておくことも必要だと言います。「ガイア」とは、古代ギリシア神話に出てくる大地の女神の名前ですが、まさに、それは大地の女神に捧げられる土地です。本来、ガイアのものだった土地を、今こそ人間はガイアに返さなければならない。森林を伐採し、荒れ地を開拓し、私たち人間はガイアの手から土地を奪い、勝手に改変し過ぎました。ガイアが悲鳴を上げるのも無理ありませんね。

前に紹介した「ワールド・プロセッサー」は芸術家からのものですが、実は全く同じ発想です。近視眼的な物の見方に汲々としがちな私たちは、このような地球規模、宇宙規模のスケールから俯瞰してみることが時には大切なのかもしれません。

それにしても、あえてそういう視点からラブロック氏を引き出してくる原子力産業の「奥の手」には恐れ入ります。宇宙スケール、地球規模で考えれば原子力の安全安心論議なんて「かすんでしまう」と言われると、あーそうかなんてつい思ってしまいますもんね。

結局のところ、私たちにとって一番大切なのは、足元の生活。多くの人々にとって、明日も明後日も自分たちが平和でそこそこの幸福感をもって生きられるかということが最大の関心事なのです。自分たちの安全安心よりも地球の病のほうが大事と言われても、原子力施設が身近に存在する人々にとっては、事故が起これば大惨事となる可能性のある施設に対する不安や心配は決して消えはしません。

「ガイア理論」はあくまでもその「次」の問題、ということでしょうか。

 

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