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カクレマショウ

やっぴBLOG

「ダ・ヴィンチコード」─本と映画、どっちも大事。

2006-05-29 | └歴史映画
映画が終わってエンドロールが始まったとたん、隣にいたカップルの女性、「半分くらい寝てたー。わけわかんなかった」と言っていました。さらに、連れの男性に「どんな映画だった?」と聞いてました…。

たぶん、原作を読んでいなければわかんない人は本当に「わけわかんない」のかもしれません。ほぼ原作に忠実な映画ですが、原作があまりにも様々な歴史上の断片を拾い集めながらストーリーが展開するので、それを2時間半の映画に詰め込むには無理があります。しかも、ある特定の時代・地域の歴史ではなく、事は「キリスト教史」ですから。映画ではテンプル騎士団の十字軍のエピソードや古代ローマ帝国のニケーア公会議のことなど、きちんと「映像」つきで見せてくれるのはとてもわかりやすいのですが、いかんせん全体的に、しておかなければならない「解説」が多いので、ラングドンとソフィの逃亡劇のスリルの方が逆にぼやけてしまう。後半から登場するティービングとか執事とか、原作ではとても重要な人物なのに、人物描写が中途半端で感情移入するヒマもない。

二人の追うファーシュ警部。彼もまた警察官という顔のほかに、もう一つの顔を持っているのですが、彼が「裏切られる」という設定が映画ではほとんど生かされていません。配役はジャン・レノですが、これまたジャン・レノがもったいなくて…。ジャン・レノの持ち味が出ていないのです。フランス語しゃべれる俳優というだけなら、もっと別の人でもよかったのではと思います。

良くも悪くもトム・ハンクスの映画だなーと思います。主人公ロバート・ラングドンを演じるのにふさわしいかふさわしくないかというより、彼はどんな役をやらせてもトム・ハンクスなのです。もちろん、とてつもないうまい俳優だってことは否定はしませんが…。ヒロインのオドレイ・トゥトゥは、「アメリ」で一躍名を馳せたフランスの女優ですが、今回のソフィ役は「アメリ」に比べたら、印象度はかなり低いと言えるでしょう。蛇足ですが、彼女、「俳優をやめたい」と言っているとかなんとか。ティービング役のイアン・マッケランはさすがにうまい。「ロード・オブ・ザ・リング」で奈落の底に落ちていったガンダルフ役の俳優ですね。

シラス修道僧はポール・ベタニー。同じロン・ハワード監督の「ビューティフル・マインド」で、ラッセル・クロウの幻覚上のルームメイトを演じていた人ですが、この映画ではもしかしたら一番の熱演かもしれません。彼がなぜアリンガローサ司教に使えるようになったのか、オプス・デイにはまったのかという背景が映画ではほとんど描き切れていないのが残念ですが。アリンガローサ司教役はアルフレッド・モリーネ。どっかで聞いた名前だなと思っていたのですが、「コーヒー&シガレッツ」(ジム・ジャームッシュ監督)の中の「いとこ同士?」に出てた人でした!

監督のロン・ハワードは、「スプラッシュ」、「アポロ13」、「遙かなる大地へ」、「ビューティフル・マインド」といった傑作を世に送り出してきた人。「ダ・ヴィンチコード」も、満を持して、といったところなのでしょうが、いかんせん原作が「重すぎ」たのがいけなかったのかもしれません。

この映画は、原作を読んでから見ることを勧めます。「映画で描かれていない」ことは、原作でしか知ることができません。読んで背景を知ってから見たほうが数倍楽しめると思います。個々の登場人物の背景にしても、歴史にしても。重さを感じてから映像を楽しむ方がお得。というより、「ダ・ヴィンチコード」って、本と映画の両方で初めて1つの作品と言えるのかもしれませんよ。


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3 コメント

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私も今日観て来ました (RICO)
2006-05-29 16:07:00
やっぴさん、こんにちは~。

今日、旦那と二人で観て来ました。

自分的には、よくまとめてあるけれど、所詮はあらすじって感じぃ~。。。ってところでしょうか。



旦那は原作読んでないのですが、まぁそれなりにわかったようでした。

一応、観た後に私が解説してあげたんですけどね(^_^;)

でもって、旦那いわく、「シラス役が一番かっこよかった」ですって。

私も同感でした。

トム・ハンクスはやっぱりトム・ハンクスで、ロバート・ラングドンじゃないな~ってつくづく思いました。

だから全然、カッコ良くなかったです。

ソフィーも、イマイチ魅力的じゃなかったです。

勿論、ジャンレノ=ファーシュも。



私としては、ルーブル美術館や史跡観たさの気持ちが強くて行ったようなものなので、目的は果たせたかな、っ感じです。



「天使と悪魔」も映画化契約してるみたいだけれど、どうなるんでしょうね?あれはバチカンが舞台だから、撮影するとしたら当然、作られたセットが舞台になるのかな。

でも私は、多分、観に行かないかな。

トム=ラングドンはもう見るに耐えません。ビジュアル的に・・・・(^^ゞ
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映像の力 (やっぴ)
2006-05-30 23:44:37
RICOさんこんばんは。



ほんとに「史跡観たさ」という意味ではばっちりの映画でしたね。ルーブルでも実際に撮影したらしいですし、テンプル教会とか、ロスリン礼拝堂とか見せられると、本は映像の力にはかなわないなーと思いました。でも、それだけならテレビのドキュメンタリーの方がいいのかもしれませんね。



ラストのルーブルはきれいでした。
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全くです。 (RICO)
2006-05-31 09:39:39
映画を観る前に、テレビでドキュメンタリーを見てしまいました・・・。

日本人だし、クリスチャンでもないから、教会の描写を本で読んでいてもピンとこなくて。。。

ただ、ロスリン礼拝堂での、棺が以前置いてあった場所の描写を映画で観て、こういう風だったのか~と、こちらは感心しました。



ストーリーがわかってる者としては、上手くまとめたな~って思うんですが、やはり説得力には欠けるかなと感じます。



ルーブルのピラミッド、あれが一番観たかったんですよ~。あとは、ダヴィンチの最後の晩餐以外の作品も、もっと観せて欲しかったです。
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