カクレマショウ

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「ここより北へ 奈良美智+石川直樹展」─もっと北を見てみたくなった。

2015-01-27 | ■美術/博物

日本の「中心」であった(ある)奈良や京都、東京から見たら、青森や北海道は、そりゃ確かに「北の果て」、「どんづまり」かもしれない。でも、青森や北海道から見たら、そっちの方が「南の果て」かもしれない。どこに起点を置くか、どこに視点を据えるかによって見方は全然違う。大事なのは、「両方の立場」から物事を見る、ということでしょうか。

ワタリウム美術館で開催されている「ここより北へ」は、弘前出身の奈良美智氏が、青森や北海道に残るアイヌ語地名に興味を持ったことから、写真家の石川直樹氏と一緒に青森や北海道、そしてさらにサハリンまで旅をした、その記録展です。まあ、単なる紀行写真展と言えばそうかもしれない。なぜか、二人のルーツをたどるような小さいころの写真やこれまでの足跡をたどる道具や彼らの蔵書の一部も展示されていて、それなりに格好は整えてあるんだけど、正直、今ひとつ意図が分からなかった。

でも、「ここより北へ」というテーマはたいそう惹かれます。日本の中では「北のはずれ」でも、世界という視点で見たら、当然のことながら、その先にまだ「北」はあるんだということを気づかせてくれます。地図を逆さまにして見てみると、別の見方があることに気づくように。

サハリン。かつて住んでいたアイヌは北海道に追い立てられてしまって、今やすっかりロシア系の人々の島となっていますが、日本が「樺太」と読んで占領していた頃をしのばせる工場跡地とか、決して裕福ではないけれど生き生きとした人々の暮らしぶりを伝える写真の数々が「北」への旅情をかきたててくれました。一度行ってみたい、サハリン。


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