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地名で見る世界史 #07アメリカ合衆国の都市名

2004-11-22 | └地名で見る世界史
米国の地図をながめていると、思わず、あれ?と思うような都市名に出くわします。

ミシシッピ川中下流域に位置する「メンフィス」は、エルビス・プレスリーゆかりの町ですが、そこから北に200kmほどのところに「ケアロー」という都市があります。英語で書くと、“Cairo”つまりカイロではないですか! ケアローは、ミシシッピ川とオハイオ川の合流地点にあり、ナイル川の肥沃なデルタ地帯に位置するカイロと似ているということからつけられたそうです。メンフィスも、カイロ南方にある古代エジプトの都市名から来ています。「アメリカのナイル」ミシシッピ川が、ナイル川が古代エジプトにもたらしてくれたのと同じように、大地の恵みの母となってくれることを願った末の命名ではないかと思います。

それから、「アセンズ」という都市が、あちこちに見られます。“Athens”つまり、「アテネ」です。ワシントン州には、「オリンパス山」があり、「オリンピア」という都市もあります。アラバマ州には「トロイ」という都市も見つけました。言うまでもなく、古代ギリシアの地名に因んでつけられたものです。オハイオ州の「アセンズ」にはオハイオ大学が、ジョージア州のそれにはジョージア大学があり、文字通り学問と文化の中心都市となっているようです。

ほかにも、「モスコー」(Moscow=モスクワ)、「ローム」(Rome=ローマ)、「フローレンス」(Florence=フィレンツェ)など、外国の地名によるものがたくさんあります。アメリカ合衆国がまさに(主に)ヨーロッパ人によって「新しく作られた国」であることを如実に表しているようです。

米国シリーズ最後に、首都「ワシントン」について触れます。

ワシントンは、正式には「Washington D.C.」と呼ばれます。D.C.とは、District of Columbia(コロンビア特区)の略称で、これをつけることで、「ワシントン州」と区別できるわけです。「コロンビア」とはコロンブスのことです。

「ワシントン」は、もちろん初代大統領ジョージ・ワシントンの名前から来ていますが、"Washington"とはもともとイギリスの地名で、「ワサ族の囲い地」という意味だそうです("ton"は「柵」という意味で、開墾地を柵で囲い込んだ状態を指す)。つまり、ワシントンは、地名から人名になって、新しい都市名として本来の地名に戻ったということになります。

かつて小笠原の父島に行ったとき、診療所で「ワシントンさん」と呼ばれている人がいてびっくりしたことがありました。それも、「なんとか・ワシントン」さんではなくて、「ワシントン・なんとか」さんというように、日本式の姓名の呼び方でした。小笠原が長いこと米国領だった名残なのでしょうが、あんなところで「ワシントン」さんに会うとは思ってもみませんでした。

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