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地名で見る世界史 #06アメリカ合衆国の州名(その5)

2004-11-20 | └地名で見る世界史
米国には、フランス語風の地名がたくさんありますが、フランス語の語源を持つ州は2州をあります。ルイジアナ(Louisiana)とバーモント(Vermont)です。

「モンベル」というアウトドア系のメーカーがありますが、これはフランス語のle mont vertつまり「緑の山」という意味です。バーモントは、この語順を変え、英語風にver+montとしたものです。当初この州は、「ニュー・コネティカット州」を呼ばれていましたが(「コネティカット」はインディアンの言葉で「長い川」という意味)、「コネティカット州」と紛らわしいということで、1777年にバーモント州と改められています。

「ルイジアナ」は、もともとミシシッピ川をはさんだ一帯を指す地名でした。17世紀後半、この地の領有を宣言し、「ルイジャン」と命名したのはフランスでした。折しもフランスは太陽王ルイ14世の治世。フランス語で「Louisian」とは「ルイのもの」という意味です。

ところが、その後フランスはイギリスとの植民地戦争にことごとく敗れ、1783年には北米植民地をすべて失ってしまいます。「ルイジャン」は、ミシシッピ以東がイギリス領、以西(現在のルイジアナ州)はスペイン領となり、スペイン語風に「ルイジアナ」と改められるのです。(ちなみに、「ルイ」は、英語でいうと「ルイス」、ドイツ語では「ルートヴィヒ」)

さて、州名以外にもフランス語に由来する地名は残っていますが、代表的なのは、「─ヴィル」という地名です。“ville”はフランス語で「町」という意味で、特に独立戦争の際には、アメリカ植民地がフランスの支援を受けたこともあって、何とかヴィルという町がたくさん生まれています。

例えば、テネシー州の州都でカントリーミュージックのメッカとして知られるナッシュヴィル。また初代大統領ワシントンのもとで陸軍長官を務めたヘンリー・ノックス将軍に因んだ同じテネシー州のノックスヴィル。ケンタッキー州に行くと、ルイヴィビル、エヴァンズヴィルというのがあります。そして、フロリダ州の州都ジャクソンヴィル。ジャクソンは「ジャクソニアン・デモクラシー」で知られる第7代大統領ですが、1830年代、彼の名に因んだ都市名が数多く生まれた(例えば、ミシシッピ州の州都も「ジャクソン」)ため、他と区別する必要から、わざわざフランス語風の語尾がつけられました。

ほかにも、デトロイト(Detroit=「海峡」)、セントルイス(Saint Louis=聖ルイの町、フランス王ルイ9世にちなむ)、ダルース(Duluth=フランス人入植者ド・ルースの名にちなむ)などフランス語から来た都市名は多い。隣のカナダになりますが、モントリオールも、もとはMont Royal(モン・ロワイヤル=王の山)というフランス語です。

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