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カクレマショウ

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「コーヒー&シガレッツ」─ジム・ジャームッシュのセンスの良さ

2005-08-19 | ■映画
「ナイト・オン・ザ・プラネット」のジム・ジャームッシュだし、キャストの名前見ただけでへぇ~って感じだし、全編モノクロというのにも引かれ、今日まで上映ということで、仕事帰りにシネマディクトで見てきました。

まさにタイトルどおりの映画で、いろんな人がコーヒーショップでコーヒーを飲みながらタバコを吸うんです。「いろんな人」といっても、どこか一癖ある人たち。そしてちょっと耳をそばだてたくなるような会話。そんな11編のエピソードが集められています。コーヒーとシガレッツを小道具にしたコラージュのような映画です。

1 Strange to Meet You 変な出会い/ロベルト・ベニーニ+スティーヴン・ライト
2 Twins 双子/ジョイ・リー+サンキ・リー+スティーヴ・ブシェミ
3 Somewhere in California カリフォルニアのどこかで /イギー・ポップ+トム・ウェイツ
4 Those Things'll Kill Ya それは命取り/ジョー・リガーノ+ヴィニー・ヴェラ+ヴィニー・ヴェラJr.
5 Ren‘e ルネ/ルネ・フレンチ+E.J.ロドリゲス
6 No Problem 問題なし/アレックス・デスカス+イザック・デ・バンコレ
7 Cousins いとこ同士/ケイト・ブランシェット+?
8 Jack Shows Meg His Tesla Coil ジャック、メグにテスラコイルを見せる/メグ・ホワイト+ジャック・ホワイト
9 Cousins? いとこ同士?/アルフレッド・モリーナ+スティーヴ・クーガン
10 Delirium 幻覚/GZA+RZA+ビル・マーレイ
11 Champagne シャンパン/ビル・ライス+テイラー・ミード

のっけから、ロベルト・ベニーニのハイテンションの会話が炸裂。受けて立つスティーヴン(「スティーヴ」じゃない!)・ライトがのほほんとしていい味出してます。この作品は1986年に作られたものだそうで、そもそも「コーヒー&シガレッツ」というのはこの短編を指していたようです。その後、1989年に「コーヒー&シガレッツ:メンフィス版」(本作では「双子」;怪優スティーブ・ブシェミのトークがすごい!)、1992年に「コーヒー&シガレッツ:Somewhere in California/カリフォルニアのどこかで」といったように徐々にシリーズが増えていき、2003年には6作が一挙に撮影されたのだそうです。

11編、どの作品もそれぞれにおもしろいのですが、「いとこ同士」、「いとこ同士?」という2編が特に印象に残ります。「いとこ同士」の方は、とあるホテルのラウンジが舞台。ケイト・ブランシェットが実名の女優として登場し、そのいとこという設定で謎の女性?が絡んでいきます。謎の女性を演じているのは誰か?私はすぐに気づきました!「エリザベス」を演じた時はさほど美しいとは感じなかったケイト・ブランシェットですが、ここではいろんな意味で魅力タップリです。

「いとこ同士?」の方は、こちらも有名俳優として英国のスティーヴ・クーガンが登場(私は初めて見ましたがなかなかいい男です)、アルフレッド・モリーナ演ずる「いとこ?」が絡みます。アルフレッド・モリーナも実名の俳優として登場するのですが、クーガンが彼の出演作として「ブギーナイツ」を口にするシーンが出てきて個人的にびっくり。この映画、つい2~3日前にレンタルで見たばかりでしたから。モリーナは「そう、ブリーフで(?)拳銃を(?)撃ったんだ」と説明していたような気がしますが、そんなシーンあったかな? この作品が「オチ」もあるし、ストーリー的には一番おもしろいかもしれません。

しかし、この映画にはそんなストーリーの面白さを期待してはいけません。ただただ、登場人物の会話に身を委ねるのがいい。米国で公開された時には、そこここで笑いの渦に包まれたらしいですが、別にガハハと笑えなくてもいいんです。ひとりでクスッって笑えれば。そして、11の場面のお互いに全然関係ない会話にも、どこかに共通するものがあること気づく楽しさもあります。「地球は共鳴する何とかである」と、同じセリフが2つの物語で出てくるとか、音楽と医学の話なんかもそうですね。

それから、会話の舞台となるコーヒーショップの様々な背景が興味深い。テーブル、椅子、壁の装飾。極めつけは、テーブルの上から俯瞰した映像の見事さ。コーヒーカップや砂糖、クリーム、灰皿、タバコ、ライターが雑然と並べられている構図。よく見ると、テーブルクロスがどの場面でも白と黒の(モノクロだから白と黒に見えただけ?)市松模様なんです(「いとこ同士」のラウンジの丸テーブルだけはチェックじゃなかったですが、背景のカーテンやソファがそれらしき柄になっていました)。ジム・ジャームッシュのセンスの良さに改めて感服です。

ところで、タバコの紫煙は、昔から言われているようにモノクロ画面に似合いますが、コーヒーの色ってモノクロじゃうまく出ないのですね。「コーヒー色」ではなく、結局真っ黒になってしまうのですよ。

この映画、11編の物語が進むうちに、だんだん「コーヒー&シガレッツ」色が薄れていくような気がしませんか? つまり、最初の4~5本目まではこれでもかというくらい「コーヒー」と「タバコ」がメインに据えられているのですが、それがだんだん薄まっていくような気がするのです。「いとこ同士?」では紅茶飲んでるし、最後は「シャンパン」まで出てくる(「このコーヒーをシャンパンだと思おうじゃないか」とテイラーが言います)。たぶん、コーヒーとシガレッツがなくても、気の利いた会話はできるし、かみ合わないコミュニケーションだってできてしまうと、そんなことなのでしょうかね。

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1 コメント(10/1 コメント投稿終了予定)

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はじめまして (kimion20002000)
2005-09-12 20:44:43
テスラ・コイルの話題は2編に出ていましたね。奇妙でおもしろかった。オウムのテスラ研究をおもいだしてしまったりして。

TBもさせていただきました。
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